建築確認の中間・完了検査のリモート化を支援するシステムを開発、清水建設:BIM
清水建設は、日本建築センター(BCJ)の指導を受け、指定確認検査機関が行う建築確認の中間検査や完了検査のリモート化を支援する確認検査支援システムを開発し、BCJとその有効性を検証した。新システムは、対面とリモートを問わず、中間・完了検査や通常の施工管理、設計者が行う工事監理業務にも展開できるため、確認検査業務の効率化を実現する。
清水建設は、日本建築センター(BCJ)の指導を受け、指定確認検査機関が行う建築確認の中間検査や完了検査のリモート化を支援する確認検査支援システムを開発し、BCJとその有効性を検証したことを2022年10月21日に発表した。
「LiDARスキャナー」と「Unity Reflect」を活用
同社は2020年から、確認申請に用いるBIMデータを活用した建築確認業務の効率化に取り組んでいる。具体的には、第1弾がBIMデータを利用した建築確認システムで、第2弾はBIMデータとAR(拡張現実)を使用した中間検査のリモート化(遠隔臨場)システムで、いずれもBCJが有効性を検証済みだ。
今回の確認検査支援システム開発は、第3弾で、AR画像における視認性の高度化※1により、躯体を対象とする中間検査だけでなく、仕上げや設備機器をターゲットとした完了検査も対応可能になった。
※1 視認性の高度化:検査対象部位の画像の上にBIMデータと建物をレーザースキャンした精緻な3次元点群データを取り込み、タブレットの画面にAR表示することを指す。
なお、一連の確認検査に用いるAR画像は、市販のテレビ会議システムや5G映像伝送システムでリアルタイムに情報共有するため、遠隔地からでもタブレットなどの画面を介して現場で行う中間・完了検査に参加できる。
加えて、同じ3次元のBIMと点群データをAR画像に重ねることで、奥行方向の位置関係(前後関係)を反映したAR表現を実現する。
この結果、例えば、点群データとBIMの形状で生じる差異のうち許容値から外れた部位の可視化、現実には見えない道路斜線、隣地斜線、避雷保護範囲などの法に基づく形態制限空間を見える化した整合確認、自由な視点での検査が行えるようになった。
LiDAR点群データと法適合判定プログラムで生成した法規制空間の重ね合わせ、建物屋上の点群データと避雷保護範囲形状を合体。見えない法規制空間を可視化し、リアルな画像で避雷保護範囲内に設置さている屋上設備機器が確認可能 出典:清水建設プレスリリース
LiDAR点群データと法適合判定プログラムで生成した法規制空間の重ね合わせ、建物が避雷保護範囲内に収まっている状況を鳥瞰により確認した画像。自由な視点により法規制空間と建物の法適合を確かめられる 出典:清水建設プレスリリース
上記の機能は、積木製作の協力を得て、3次元レーザースキャナー「LiDARスキャナー」やUnity製のゲームエンジン「Unity Reflect(ユニティーリフレクト)」をシステムに取り込み搭載した。
既に、BCJが新システムを使って、清水建設が設計・施工を担当した三愛会総合病院(埼玉県三郷市)の任意完了検査を実施している。その結果、建築基準法で定める「工事監理の状況の写真及び書類による検査ならびに目視、簡易な計測機器などによる測定又は動作確認その他の方法」に代替でき、リモート検査にも対応可能と評価された。
また、2022年5月に、国土交通省が各指定確認検査機関に対して「デジタル技術を活用した建築基準法に基づく完了検査の立ち合い遠隔実施について」を通知したことで、検査業務のDXが加速することを踏まえて、清水建設は、新システムの活用を指定確認検査機関に提案することで建築確認検査のDXを後押しする。
さらに、建設現場内で収集した360度画像と新システムを連携させることで設計の工事監理や施工管理業務のDXも推進していく。
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