BIMによる建築確認申請、国内初の確認済証が交付:BIM/CAD
BIMデータを使用した建築確認申請において、ついにlコック内で初めて確認済み証の交付が行われた。BIMの普及および、BIMデータ活用領域の拡大に向けて期待が高まっている。
フリーダムアーキテクツデザイン、住宅性能評価センター、大塚商会、オートデスクの4社は、オートデスクのBIM(ビルディングインフォメーションモデリング)ソフトウェア「Autodesk Revit」のBIMデータを使用した建築確認申請を実現するために2016年4月から協業を進めてきていた。
従来の建築確認申請は、平面図や配置図など複数の2次元図面を確認して審査されている。しかし、それぞれの図面が作成される際に、建築物の高さや面積が記載されていない場合があるなどの不整合があり、申請における確認作業などに大きな負担が発生していた。しかもBIMで設計された建築物については、BIMデータだけではなく、別に建築確認申請用の2次元図面を作成しなければならず、不要な手間が発生していた。
BIMデータの活用した申請・審査プロセスの実現
こうした不要な負担を軽減し、統合的に建設プロセスの効率化を実現するBIMの本来の価値を実現するために、4社は協業によりBIMデータを中心として、建築確認申請を行える仕組みの開発を進めてきた。
4社の具体的な役割としては、フリーダムアーキテクツデザインが、BIM確認申請のルールを作成して申請テンプレートを大塚商会に制作依頼。同テンプレートを使って申請を提出した。住宅性能評価センターは確認検査機関の立場から、BIM確認申請手続きのプロセスとテンプレートの仕様を検討し、大塚商会は確認申請テンプレートを作成。オートデスクは、BIMソフトウェア提供者の立場から、BIM確認申請手続きのプロセスをソフトウェア上で効率的に行うための検討、助言を行ったという。
これらの取り組みにおいて、2016年8月に国内で初めての確認済証が住宅性能評価センターから1件交付。BIMデータの活用した申請・審査プロセスの実現に向けて一歩踏み出した形である。
今回の取り組みでは、ひな型を用いたBIMデータを事前相談で使用すると、一つのデータから複数の図面が自動的に作成されて、各図面間の整合性が保たれ、審査の品質と効率の向上を実現するという仕組みを作った。BIMで設計する際も別途申請用の2次元図面を作る必要がなくなり、準備の負担を軽減できる。具体的な申請の流れは以下のような形だ(図1)。
- 確認申請の事前相談時に、申請書とともにBIMデータを確認検査機関に提出。必要な修正をへて受付される
- 確認検査機関は申請書とBIMデータを元に事前相談を実施
- 申請者と設計者が、確認検査機関に提出した申請書と各図面に電子署名する
- 申請を受付後、適合が確認できた場合、確認済証が交付される
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- BIM/CIM全てを一括提供、オートデスクが建築・土木向け新パッケージ
オートデスクは「Revit」「AutoCAD Civil 3D」などの代表的なBIM/CIM関連のソフトウェアや「AutoCAD」などを筆頭に、合計22本まとめてパッケージ化した新製品「Autodesk Architecture,Engineering & Construction Collection」の販売を開始した。サブスクリプション方式で提供する。 - BIMデータと環境情報を同時に見える化、タブレットやスマホからも
建築物の企画や設計段階で、事前に環境性能をシミュレーションする事例が増えている。大成建設はこうした流れを受け、同社が開発したBIMデータを確認・操作できる「T-BIMビューア」に、風や熱などの環境シミュレーションで得られた結果を可視化できる機能を追加した。 - BIMのデータから自動積算するサービス、建材の集中購買も支援
建築物を構成する部材などの情報を一元的に管理するBIMのデータを活用した新しいサービスが始まった。建材や家具などの商材データベースとBIMのデータを照合して、自動で積算から見積もりまでを実行できる。設計前にBIMパーツライブラリーを整備することで建材の集中購買も可能になる。 - 環境振動が少ない快適なビルを設計、面倒な3次元データの入力はBIMで自動化
吹きつける風や近くを走る自動車の影響によって、ビルには微小な振動が日常的に発生する。内部の居住性を損ねるほか、精密機器に影響を及ぼす可能性もある。大成建設は環境振動の予測評価を短時間に高精度で実施できるように、解析に必要な3次元データの自動作成ツールを開発した。