居住目的のない“空き家”は全国349万戸 国交省が相続時の発生抑制など対策委員会を設置:空き家問題(3/3 ページ)
国内の空き家総数は849万戸と推定されており、今後の人口減や世帯数の減少、高齢化社会の本格化などを背景に、さらなる増加が見込まれている。そこで国土交通省は深刻化する空き家問題に対し、有識者による対策委員会を設け、相続時の発生抑制や利活用、管理適正化または除却促進などを本格的に検討することを決めた。
25.5万戸の管理不全の空き家がまだ未着手
こうした空き家放置による防災・防犯、衛生、景観などの外部不経済を是正すべく、2015年に施行した空家法では、市町村の立ち入り調査で、管理不全の空き家が全国に49.9万戸と判明し、なかでも早急に対策を講じる必要がある「特定空き家」は4万戸と判断された。
その後、指導/勧告や行政代執行で除去や修繕がなされた特定空き家は1万9599戸、それ以外も含めると合計で14万2528件にとどまっている。そのため、対策されていない特定空き家は2万件、特定空き家以外も含めると25.5万戸で、うち10.1万戸については自治体でも状況を把握していないのが現状。
今回、設置する委員会では、いまだに存在する空き家を対象に、1.発生抑制、2.活用促進、3.管理適正化、4.除却促進――の4方向で有効策の検討を進める。
発生抑制では、相続時などの家屋が空き家となるタイミングや前段階での対応を重視し、活用促進では流通促進や活用支援策の強化に焦点を当て、自治体や民間主体が所有者や活用希望者の相談に丁寧に応じて支援する枠組みを議論する。
また、管理適正化では適切な管理意識を所有者に醸成し、除却促進では利活用が難しい管理不全の空き家の除却をさらに円滑化させる方策を練っていく。
今後、空き家対策小委員会では、3〜4回程度の議論を重ね、2022年内をめどに方向性を整理し、2023年1月頃のとりまとめを目指す。
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