大林組が遠隔操作も可能な天井クレーンの自動運転システムを開発、1人で操作可能:導入事例
大林組は、各種の天井クレーンに後付けすることで、揚重、運搬作業の遠隔操作と自動化が可能となる「天井クレーン自動運転システム」を開発した。今後は、天井クレーン自動運転システムを定点間移動の多い天井クレーンやクラムシェルを使用した揚土作業など、コンクリートプラント以外に展開していく。さらに、同様のクレーン作業を複数台で行う現場に導入することで、作業の一元管理と機械間連携を行い、省人化を達成し、生産性向上を図る。
大林組は、各種の天井クレーンに後付けすることで、揚重、運搬作業の遠隔操作と自動化が可能となる「天井クレーン自動運転システム」を開発したことを2022年10月5日に発表した。
工事事務所の会議室や個人のデスクで天井クレーンの遠隔操作と監視を実現
建設業では、生産性向上と働き方改革を実現するためには、ICTを活用した施工と生産プロセスを効率化することが求められている。
こういった状況を踏まえて、大林組は、以前から建設工事現場で使用される建設機械全体の自動化と自律化に向けて、「バックホウ自律運転システム」や「タワークレーン自動運搬システム」などを開発してきた。
今回、新たに「天井クレーン自動運転システム」を開発し、建設現場のコンクリートプラントで複数種類の骨材(砂と砂利)を容器(ホッパー)に投入する天井クレーンに適用した。天井クレーン自動運転システムは、ホッパー内にある骨材の残量を検出し、減少するとクレーンが自動で骨材の貯蔵場まで移動し、くみ上げてホッパーに投入する。
具体的には、既設の天井クレーンに後付けでレーザースキャナーセンサーを取り付けることで、吊り具となるホイストを感知しクレーンの位置情報を把握する他、目的地などの位置情報を登録することで、クレーンを自動で動かせ、移動中は加速・減速を自動制御することで揺れを最小限に抑える。
さらに、搭載された深度計測センサーにより対象物までの距離情報をカメラ映像で可視化する「Depthカメラ」を装着することで、吊り荷の形状や容量などを把握し、自動運転や障害物検知に使用できる。
なお、新システムでは、コンクリートプラントのホッパー内を撮影することで、骨材の残量を把握するとともに、減少すれば自動で貯蔵場まで移動し、くみ上げてホッパーに投入するという一連の仕組みを構築した。
加えて、これまで天井クレーンの作業は通常、コンクリートプラント内で実施していたが、新システムは、稼働状況を共有し、確かめられる環境が整えば、工事事務所の会議室や個人のデスクなどで、天井クレーンの遠隔操作と監視が行える。
また、従来は、天井クレーンに備え付けられているリモコンを使用し、手動運転で骨材を投入していたが、新システムを導入することで、手動と同様の作業を自動で再現するとともに、遠隔操作も実現する。そのため、従来のオペレーターとプラント管理者の2人体制から、管理者のみの1人体制に移行でき省人化を図れ、プラントの運営コストも減らせる。
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