地上からタワークレーンを遠隔操作、竹中と鹿島が実工事に国内初適用:導入事例
竹中工務店と鹿島建設は、建築現場に設置した簡易コックピットからタワークレーンを遠隔操作する新システム「TawaRemo」を実現場に国内で初めて導入した。
竹中工務店と鹿島建設は2021年4月7日、アクティオ及びカナモトと共同開発したタワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo(簡易コックピットタイプ)」を都内で施工中の建築工事に初適用したと明らかにした。タワークレーン遠隔操作の実工事での適用は、国内初の試みだという。
清水建設を加えたゼネコン3社が連携して、実工事へ普及拡大
TawaRemoを用いて、現場で建設資材を揚重した結果、従来のクレーン頂部に設置された運転席から操作する場合と同等の作業が行えることに加えて、高所にある運転席への昇り降りが不要になることでオペレーターの疲労軽減などの生産性向上につながる効果を確認した。
タワークレーンのオペレーターは通常、作業時にタワークレーン頂部の運転席まで、最大で約50メートルを梯子(はしご)で毎日、昇降しなくてはならなかった。また一度、席に着くと作業開始から終了まで、高所の運転席に1日中拘束されることになり、オペレーターへの身体的負担の軽減や作業環境の改善が求められていた。
その点、4社共同開発したTawaRemoであれば、作業事務所や遠隔地のコントロールセンターにコックピットを配置することで、場所に捉われずタワークレーンの操作が行えるようになる。同一箇所に複数コックピットを配置して運用することも想定されているため、多数の若手オペレーターに対し、熟練オペレーター1人を配置して指導教育も可能になるので、熟練から若手への技術伝承と若手の技量アップにもつながる。
TawaRemoの仕組みは、タワークレーンの運転席回りに設置した複数台のカメラで撮影した映像を基地局経由で地上や遠隔地のコックピットに送信し、モニター画面に映し出される。タワークレーンの運転席にはジャイロセンサーも搭載しているため、コックピットでタワークレーンの振動や揺れを体感し、運転席上の操作と同等の環境を構築できる。
タワークレーンと基地局を結ぶ通信網は、NTTドコモ協力のもと、4Gアクセスプレミアム回線(閉域ネットワーク)で高いセキュリティが保たれている。将来は、より安定的な操作性のために、5G回線の導入も検討している。基地局とコックピット間の通信には、カナモトが開発した通信システム「KCL」(Kanamoto Creative Line)を用いることで、セキュリティ強化と低遅延の操作が実現する。
今後の展開では、2021年8月にTawaRemo(専用コックピットタイプ)を大阪市内の建築工事に採用し、実証効果を検証する。さらに、2020年10月19日に合意したロボット施工・IoT分野での技術連携に関する基本合意書に基づき、清水建設を加えた3社の連携で、実工事への普及を加速し、作業環境の改善と生産性の向上を図っていく。併せて、システム導入のメリットを最大限に活用すべく、異なる現場で稼働する複数のタワークレーンを集約して遠隔操作する拠点の整備を目指し、諸官庁を含む関係各所との協議も進める。
なお、2社以外の役割は、アクティオが自社保有のタワークレーンにシステムを順次導入し、カナモトはコックピットと通信システムのレンタルや運用保守を担当している。
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