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大成建設が加熱型微生物浄化技術の効果を汚染地盤で検証、難透水層のVOCsが90%減少導入事例

大成建設は、地盤加熱型の微生物浄化技術「T-SoilReme HeatBio」の効果を実汚染地盤で検証した。その結果、従来の原位置浄化では対応が困難だった難透水層にあるVOCs含有量が加熱により約90%低減し、VOCsの溶出量は基準値以下となった。

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 大成建設は、地盤を加熱することで、揮発性有機化合物※1(以下、VOCs)で汚染された難透水層(粘土、シルトなど)から帯水層中の地下水にVOCsを抽出し、地盤内の微生物を活性化させて浄化する原位置浄化技術「T-SoilReme HeatBio」を、環境省の受託実証試験※2で実汚染地盤に適用し、その効果を検証したことを2022年9月15日に発表した。

※1 揮発性有機化合物:揮発性が高く人体に有害な溶剤などは、地盤に漏えいすると地下水を介して広く拡散する汚染物質で、トリクロロエチレンやベンゼンなど11種が環境規制物質に規定されている。

※2 受託実証試験:環境省が公募する「令和3年度低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査結果」に選定され、実汚染地盤において実証試験を実施。

掘削除去による浄化対策と比べて20%程度のコストカットを実現

 同社は、これまでVOCsで汚染された土壌や地下水に対して、浄化材や空気などを地盤に供給して浄化菌を活性化させる原位置浄化技術の適用を多数にわたり行ってきた。しかし、地盤の温度は、浄化菌が活発に活動できる温度より低い20度前後である場合が多く、浄化期間が長期化する傾向にあった。


「T-SoilReme HeatBio」の概要(左)と実汚染地盤の実証試験状況(右) 出典:大成建設プレスリリース

 さらに、難透水層には浄化材や空気などを供給することが難しいため、地下水汚染再発の原因となるVOCs汚染土壌が残存するといった問題も存在した。

 そこで、大成建設は、VOCs汚染地盤に設置した電極を用いて土壌中に電流を流すことで、地盤を加熱して難透水層に存在するVOCsを帯水層中の地下水へ脱離させるT-SoilReme HeatBioを開発した。

 今回の実証試験では、実汚染地盤に対しT-SoilReme HeatBioを用いて、浄化菌が活発に活動する最適な地盤温度に加熱することで、VOCsの汚染濃度低減を促進し、浄化期間を短縮することを確かめた。


難透水層地盤の汚染濃度低減(左)と温度による浄化速度の違い(右) 出典:大成建設プレスリリース

 加えて、従来の原位置浄化では対応が困難だった難透水層にあるVOCs含有量が加熱により90%ほど低減され、VOCsの溶出量は基準値以下となった。なお、地盤温度を約30度に加熱することで、浄化菌によるVOCs分解速度が2倍以上向上し、浄化期間を60%程度短縮することが分かった。

 また、掘削除去による浄化対策と比べて、20%程度のコストカットを実現し、CO2排出量も約44%減らせることが判明した。

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