雨水流出抑制能力とヒートアイランド現象緩和効果を持つ新たな舗装、大林組:防水
大林組は、大林道路とともに、透水性舗装と湿潤舗装を組み合わせることで、豪雨災害とヒートアイランド現象の2つを解消する多機能舗装「ハイドロペイブライト」を開発した。両社は、ハイドロペイブライトを軽交通道路に適用することで、豪雨災害とヒートアイランド現象の解決を目指す。また、今後は、一般道路への適用も視野に入れ、開発を進めていく。
大林組は、大林道路とともに、透水性舗装と湿潤舗装を組み合わせることで、豪雨災害とヒートアイランド現象の2つを解消する多機能舗装「ハイドロペイブライト」を開発したことを2022年9月2日に発表した。
降雨後に最大6日間にわたり雨水が路盤内に貯水されたことを確認
近年、国内では、地球温暖化や都市化などにより豪雨災害と平均気温の上昇が問題となっている。こういった事象は、道路の冠水や地下街の浸水、熱中症患者の増加などをもたらすため、気候変動と自然災害にも有効なインフラ整備に対するニーズが高まりつつある。
そこで、大林組は大林道路とともにハイドロペイブライトを開発した。ハイドロペイブライトは、透水性舗装(軽交通道路※1)と湿潤舗装(歩道)を組み合わせた舗装。ハイドロペイブライト上に降った雨は、主に透水性舗装の路面から浸透し、貯水容量が大きな路盤内に貯水されるため、豪雨時における雨水の流出量を減少させ、下水施設などに一気に雨水が集まることが抑えられる。
※1 軽交通道路:大型自動車が侵入せず、主に普通自動車以下の通行(1日当たり300台未満)と駐車場に使用される道路。コンクリートの曲げ強度は歩道(管理用車両の乗り入れ有り)の規格値である1平方ミリメートル当たり2.5ニュートン以上。
さらに、透水性舗装の路盤に貯水された雨の一部は、湿潤舗装に導水され、路面から蒸発する時には、路面や周囲から熱が奪われるため、歩行者に涼しい環境を提供するとともに、ヒートアイランド現象を緩和する。
具体的には、ハイドロペイブライトの透水性舗装には、ポーラスコンクリートに約20%、路盤に約40%の空隙があるため、多量の雨をためられる他、湿潤舗装内でも砂層の空隙内に雨を貯水できる。
なお、通常の透水性舗装と同条件の道路(車道幅員5メートル、歩道幅3メートル、長さ1キロ、舗装厚35センチ)で比較した場合に、約2.1倍の雨をためられ、下水施設への流出時間を遅らせ流出量を減少させられるため、雨水流出抑制効果が高められる。
加えて、通常のアスファルト舗装と比べて、夏季の路面温度を透水性舗装で最大12度、湿潤舗装で最大23度低下させられるだけでなく、雨が路盤内に貯水されている期間中に、湿潤舗装の路面から雨水が蒸発するため、降雨後も暑熱緩和効果を発揮する。大林組は、試験施工地で、降雨後に最大6日間にわたり、雨水が路盤内に貯水されたことを確認した。
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