PRSを用いた目地充填工法で建設材料技術性能証明を取得、東急建設:導入事例
PRS工法研究会は、ポーラスレジンサンド(Porous Resin Sand、PRS)を用いた目地充填工法について、2022年5月16日付で、日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明(第22-01号)を取得した。新工法は、RC・SRC造建物のコンクリート躯体を対象として目地充填工法で、2016年に開発され、適用実績は15件(2022年7月現在)。性能証明を取得するにあたり、目地充填材であるPRSの性能(コンクリートとの接着性、目地露出面の陥没抵抗性、ひび割れ分散性)について検証し、新工法を採用することで、コンクリートと充填材の接着界面に亀裂は生じず、仕上げ面の亀裂、しわ、くぼみを発生させないことを証明した。その後、性能について第三者評価機関の審査を受け、建設材料技術性能証明を取得した。
東急建設が参画している鉄筋挿入型ひび割れ制御工法協会内に設立されたPRS工法研究会は、ポーラスレジンサンド(Porous Resin Sand、PRS)を用いた目地充填工法について、2022年5月16日付で、日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明(第22-01号)を取得した。
使用材料が全てプレパック材のため施工時の材料計量が不要
建物のクロス貼りなどの仕上げ層に亀裂が生じることは、美観上および耐久性上の問題に発展することがあることから、建物使用者のみならず、設計者や施工者も亀裂の発生を防止しなければならない。
一方、RC・SRC造建物のコンクリート躯体にひび割れ誘発目地を設け、クロス直貼りや塗装による仕上げ仕様とする場合、従来の代表的な目地充填材では、意匠上の不具合が起きる可能性が高くなるため、積極的に採用されてこなかった。
具体的には、目地充填材にモルタルを採用したケースでは、コンクリートとモルタルの接着界面に亀裂が生じ、仕上げ表面にその亀裂が露見する他、伸縮性を重視してシーリングを充填したケースでは、体積減少によって躯体表面よりへこみが進行してクロス表面にしわが寄るだけでなく、指で押さえるとくぼむ。
そこで、目地を充填した部位の仕上げ表面で起きる亀裂やしわ、くぼみを防止するためには、目地形状の変化に対し、一定のひび割れ分散性、圧縮強度、体積減少が少ない材料で目地内を充填することが必要となってくる。
解決策として、PRS工法研究会はPRSを用いた目地充填工法を開発した。新工法の開発にあたっては、珪砂とファイバー樹脂を混合して製造したPRSが、多孔質構造(ポーラス機構)を形成することで、一定の接着性、陥没抵抗性、ひび割れ分散性、圧縮強度を有することに着目して、目地充填材としてPRSを採用した。
新工法は、RC/SRC造建物のコンクリート躯体のひび割れ誘発目地に、珪砂とファイバー樹脂を混合して製造したPRSを目地内に充填することによって、目地形状の変形に合わせ、PRSの内部にかかる圧縮力や引張力を吸収することで、直貼りクロス仕上げ面の亀裂を防止する。
なお、新工法は、コンクリート構造物あるいは部材コンクリート面の目地を対象としており、内装制限が適用される壁あるいは天井部分に目地が露出する場合に適用可能で、範囲は室内に面する目地部分の見付面積が各面の面積における10分の1以内に限られる。
特徴は、目地材のひび割れ分散性により、1本のひび割れ幅を小さくし、直貼りクロス仕上げ面での亀裂、しわ、くぼみの発生を防止する他、使用材料が全てプレパック材のため、施工時の材料計量が不要となり、使用材料の混合作業が容易かつ正確に作業が行える点。
加えて、目地内に収縮ひび割れを誘導する鉄筋挿入型ひび割れ制御工法(CCB工法)と併用することで、より確実に直貼りクロス仕上げ面の変状を防げる。
使用材料は、繊維入りのエポキシ系樹脂と硬化剤で構成されるPRS樹脂やエポキシ系樹脂と硬化剤から成るプライマー、・珪砂「リバースサンドNo.5(1000度で焼成済)」の3つ(珪砂、主剤、硬化剤はプレパック済みで、いずれもAOIトーマス製)。
また、事業主と設計監理者はCCB工法協会に入会し、賛助会員として所属することで新工法を使え、施工者は、CCB工法協会に入会し、PRS工法研究会に所属することで利用できる。
現在、CCB工法協会では、PRS目地充填工法を適用する作業所に、新工法を十分理解していると協会が認定したCCB工法施工管理技術者による施工指導を義務付けている。
CCB工法施工管理技術者の称号は、PRS工法協会が実施する講習会を受講(5年毎に更新)し、試験によって相応レベルの工法知識/技術を保有していると認定された技能者に与えられる。新工法を適用する作業所では、施工管理者を選任し、新工法を十分理解して施工管理を行うこととなる。
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