画像処理によるひび割れ点検支援システム「VIS&TFC」を発売:維持管理
日本システムウエアと日本工営は、東京理科大学理工学部土木工学科小島研究室の特許を利用し、ひび割れ点検支援システム「VIS&TFC」を開発し、2021年10月1日から販売を開始した。画像処理により、ひび割れ検査作業の効率化と精度向上を実現する。
日本システムウエアと日本工営は、東京理科大学理工学部土木工学科小島研究室の特許を利用し、ひび割れ点検支援システム「VIS&TFC(ビスアンドティーエフシー)」を開発した。同システムは、凸版印刷グループのトッパン・コスモを通じ、2021年10月1日から販売を開始した。
VIS&TFCは、錯視を誘発する画像処理によりひび割れを強調表示するシステム「VIS」と、画像の特徴を分類・解釈する「TFCアルゴリズム」の機能を組み合わせたシステムだ。
従来、コンクリート構造物などのインフラ老朽化、それに伴う検査業務の負担増加が課題となっていた。コンクリート構造物の点検では、専門知識を持つ土木技術者が近接目視でひび割れを確認し点検データを作成することが一般的で、膨大な時間とコストが掛かっていた。
VIS&TFCは、これまで複数のソフトウェアで行っていた画像鮮鋭化処理をPC画面上で瞬時に行うことが可能だ。例えば、対象インフラを撮影した映像や画像に強調処理を施し、ひび割れの深さや表面のざらつきの度合を色分け表示することで、技術者の目視判定を支援する。
VISにより、幅0.2ミリメートルといった微小なひび割れを強調表示し、目視検査の負荷軽減や迅速な検査を可能にする。また、検査現場での静止画や動画のリアルタイム検査、および保存した静止画や動画に対する事後分析の双方を支援するとしている。
TFCは、電磁波反射率に基づき、検出したひび割れ領域内やテクスチャ特徴領域内の深さ情報を可視化することで、ひび割れ状態の確認ができる。
コンクリートのひび割れなどの異常の発見を、迅速かつ精度良く行うことが可能となり、ヒューマンエラーの低減にもつながるとしている。今後は、現場の検査・点検業務を行う技術者の的確な判断や生産性向上を補助するツールとしての活用を目指す。
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