AIを活用したひび割れ検知システム、インフラ点検の効率化へ:維持検査/点検
クモノスコーポレーションは、ひび割れ検査システム「KUMONOS」シリーズの発展版として、CanonのAIシステムによりひび割れを自動で検知し、人的誤差を排除、作業時間を大幅に短縮する「AI・KUMONOS」をリリースした。
クモノスコーポレーションは、ひび割れ検査システム「KUMONOS」シリーズの発展版として、CanonのAIシステムによりひび割れを自動で検知し、人的誤差を排除、作業時間を大幅に短縮する「AI・KUMONOS」をリリースした。
AI・KUMONOSは、KUMONOSをべースに映像技術を採用した「シン KUMONOS」に、キヤノンのAIシステムを組み合わせることで、作業効率をさらに向上させた。現地や撮影後の写真から、人の目で行っていたひび割れ検知作業を、AIシステムによって自動で検知できる。人的誤差を排除し作業時間の大幅な短縮を可能としたという。
KUMONOSは、2005年に開発したシステムで、光波測量機を応用し、離れた位置からコンクリート構造物のひび割れを計測し、その位置座標と幅、長さのデジタル記録が可能である。従来のアナログ検査では対応できなかった経年変化の比較が可能だ。ビル、橋梁やダムなどのひび割れ計測に活用されており、100メートル先にある0.2ミリメートルのひび割れを、早く、正確かつ安全に計測できるとしている。
従来の目視点検では、人によるばらつきや正確性に欠けるスケッチ、場所によっては足場や高所作業車の準備に要するコストや、現場の通行止めなどの規制も必要となることが課題となっていた。また、2022年6月開催の、デジタル、規制、行政を一体的に改革する政府の「デジタル臨時行政調査会」の第4回会合では、4000条項の「アナログ規制」見直しが提示され、インフラ点検における目視規制が撤廃の検討対象となっていた。
これらに加え、同社のひびわれ検査の対象物であるダムや橋脚、トンネル、岸壁などのインフラは、高度経済成長期に整備されたものが多く、橋梁だけでも今後20年で約70%が建設後50年以上経過するという。検査対象物はどんどん増加するため、より効率的な維持管理・更新が求められていた。
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