ハイブリッド木造建築物のデザインやCO2削減量を可視化する新アプリ、大林組:ICT
大林組は、GELと共同で、敷地形状に合わせて簡易設計したハイブリッド木造とS造を比較し、デザインイメージやCO2削減率、コストアップ率をその場で比べられるアプリ「WOODX」を開発した。今後は、WOODXを営業担当者のタブレットに標準ソフトとして導入し、顧客からの木造建築に対する要望にタイムリーに応えることで、木材利用の拡大に向けて取り組んでいく。
大林組は、GELと共同で、敷地形状に合わせて簡易設計したハイブリッド木造とS造を比較し、デザインイメージやCO2削減率、コストアップ率をその場で比べられるアプリ「WOODX(ウッドエックス)」を開発したことを2022年8月23日に発表した。
木材使用量からCO2発生量と固定量を算出
木造建築では、建築計画の初期段階で、顧客が木造建築を検討するための建築イメージや諸条件を提案しなければならないが、提案作成とその変更には多面的な検討が必要で、多くの人員と時間を要していた。
そこで、大林組はGELとともにWOODXを開発した。WOODXの作業手順は、まずタブレットを使用し敷地形状と平面範囲をWOODXに入力した後、建物の階高と木材の適応範囲をインプットする。次に、WOODXの3Dビューで外観形状を確認し、360度パノラマビューで内観イメージを確かめる。続いて、CO2削減率などが可視化されたPDFを出力する。
具体的には、タブレット上で地図から敷地を指定し、建物の外形や階数、木材の構造への適応範囲、内外装のデザインを設定することで、ハイブリッド木造建築物の外観・内観を3Dビューや360度パノラマ画像で表示できる。
さらに、各部材の数量を自動計算し、推定される木材使用量からCO2発生量と固定量を算出することで、S造と比較したCO2削減率や概算コストのアップ率をその場で提示する。
加えて、検討結果の保存やPDF出力に対応するため、複数のシミュレーションを作成し、比較も容易に行えることから、WOODXを利用することで、木造建築を検討する顧客にその場でイメージを提示し、具体的な計画検討に向けた合意形成が行える。
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