国産の木質バイオマスガス化発電装置を用いた実証実験を千葉県で実施、鉄建建設:カーボンニュートラル
鉄建建設は、DOWAサーモテックと共同で開発した国産・小型の木質バイオマスガス化発電装置を用いた実証実験を千葉県東金市で行っている。
鉄建建設は、DOWAサーモテックと共同で開発した国産・小型の木質バイオマスガス化発電装置を用いた実証実験を千葉県東金市で開始したことを2022年6月16日に発表した。
樹木・果樹の剪定枝や河川とダムの流木を発電燃料として活用可能
木質バイオマスガス化発電方式は、バイオマス燃料材を化学反応(熱分解や酸化還元)により可燃ガス化し、ガスタービンなどを回して発電するため、小規模な発電所でも効率的に発電することが可能で、市町村単位などでの電力供給や非常用電源として活用されている。
しかし、良質なチップやペレットを利用しなければならない従来のガス化発電方式は、安定的にガスを発生するために、特定の燃料材を使用する必要があり、森林間伐材の枝葉や根などの利用は進んでいなかった。
一方、鉄建建設とDOWAサーモテックは、上記のような間伐材や果樹剪定(せんてい)枝など、幅広い原料の活用を目指して半炭化技術に着目し、2018年度から東京工業大学との共同研究で、さまざまな木質系と草木系のバイオマス素材を半炭化しガス化する試験を行ってきた。
その後、半炭化により安定的にガスが得られることを確認し、実用化に向け、2021度からガス化ユニットや熱電供給システムから成る定格出力200キロワット規模のガス化発電装置と半炭化製造装置を開発した。
今回の実証実験で使用する木質バイオマスガス化発電装置は、上記の半炭化製造装置や定格ガス化発電装置で構成される。具体的には、木材を直接燃焼せず、搭載された過熱蒸気発生装置で発生させた過熱蒸気(300〜350度)を使用して半炭化した上で、ガス化して発電機を稼働させる。
さらに、半炭化のプロセスを経ることで、通常木質バイオマス発電燃料として使用される木質チップだけでなく、樹木・果樹の剪定枝や河川とダムの流木を発電燃料として活用する。加えて、ガス化のプロセスを経ることで、小規模の発電を効率良く実施することができ、地産地消の地域内で集められる木質系バイオマス素材で、発電に必要な木材の量を満たせる。
今後は、千葉県東金市内で、2022年度の上半期内に、半炭化装置とガス化発電装置の実証試験機を使用して連続運転試験などを実施する。また、下半期には発電事業への展開の準備や効率化を目的に機器の改良を行う。
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