愛媛県内子町で地域連携型のバイオマス発電所が着工、竹中工務店:プロジェクト
竹中工務店は、内藤鋼業やサイプレス・スナダヤ、三洋貿易、大日本コンサルタントとともに、愛媛県内子町で開発を進めていた「内子龍王バイオマス発電所」が2022年5月に着工したことを公表した。今後は、内子龍王バイオマス発電所の事業を通じ、地域の脱炭素化や防災力強化に貢献する木質バイオマス発電事業として、地方自治体や地元企業と連携した「木質バイオマスによる持続可能なまちづくり」の先導モデルとなるように取り組んでいく。
竹中工務店は、内藤鋼業やサイプレス・スナダヤ、三洋貿易、大日本コンサルタントとともに、愛媛県内子町で木質バイオマス発電の事業化に向け、「内子龍王バイオマス発電所」の建設に2022年5月に着手した。
3600トンの間伐未利用材により製造されたペレットを燃料に利用
内子龍王バイオマス発電所は、内子町森林組合により出材される原木から生じる年間約3600トンの間伐未利用材により製造されたペレットを燃料に用いて発電する。発電した電力は、固定価格買取制度(FIT制度)を利用して四国電力送配電へ全量売電するとともに、発電の際に発生する熱は、隣接する内子町龍王公園内の「オーベルジュ内子」と「フィットネスRyuow」の2施設へ供給する見通しだ。これによりエネルギー効率を発電のみの30%から75%に高める。
導入する発電システムは、ドイツに本社を構えるブルクハルト製の小型高効率木質バイオマス熱電併給装置を採用する。使用する木質ペレットについては、内藤鋼業の小田ペレット工場から調達し、工場の稼働実績を生かして、安定的かつ確実な施設運営を目指す。
発電所の建屋は、内子町産の木材を用いた木造建築とし、内子町の景観まちづくり条例に配慮したデザインとする。建物の部材には、愛媛県西条市のサイプレス・スナダヤで製作されたCLT※1を活用し「観光資源として見せる発電所」となるように仕上げる。
※1 CLT:直交集成板(Cross Laminated Timber)。
今回の発電所では、2021年9月に5社の共同出資で設立した内子龍王バイオマスエネルギーを事業主体とし、「内子町龍王地区の木質バイオマス熱電併給に関する基本協定書」を締結した内子町からの各種支援だけでなく、地元企業20社からの優先出資など、地域が一体となって事業実現に関与する仕組みを導入することで、地域内に新たなエネルギーと経済の循環を構築する。
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