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竹中工務店が新たな木造技術を展開、第1弾はCLT壁に地震力を負担させる架構システム:導入事例
竹中工務店は、木の付加価値向上技術として「KiPLUS」シリーズを展開している。また、保有技術の「燃エンウッド」シリーズと「T-FoRest」シリーズに、KiPLUSシリーズを加えた3シリーズで展開し、中高層木造ハイブリッド建築の普及や国産木材の活用に取り組むとともに、脱炭素社会の実現に貢献する。
竹中工務店は、木の付加価値向上技術として「KiPLUS(キプラス)」シリーズを展開することを2022年7月28日に発表した。
9件の物件に「KiPLUS WALL」を導入
KiPLUSシリーズでは、従来のRC造やS造で使用する架構システムの一部に木を使用することで、遮音や耐震といった性能の一部を補完する設計技術を扱う。加えて、RC造とS造に木を組み合わせる新架構システムでこれまで以上に木材活用を推進する。
同社は、KiPLUSシリーズの第1弾として「KiPLUS WALL(キプラス ウォール)」を開発し、第三者機関の構造性能評価を取得した。KiPLUS WALLは、S造あるいはRC造の建物に木の耐震壁(CLT壁)を配置し、CLT壁にも地震力などを負担させる架構システム。
加えて、架構システム全体で地震力に対する必要な効力を発揮することで、従来より柱や梁(はり)の断面サイズをスリム化し、構造計画の自由度を高めるとともに環境負荷の低減に貢献する。
また、木材を使用することで、内装材として使え、施工性も良好で、意匠性にも優れる。既に、竹中工務店は、4件の物件にKiPLUS WALLを導入済みで、現在5件の物件に取り付けている。
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