ハイブリッド構造の制震デバイスの全国販売を開始、なかやしき:製品動向
なかやしきは、耐震と制震の性能を備えた制震デバイス「ダイナミックファスナー」を全国で専売開始した。ダイナミックファスナーは、施工時に取り付けるだけで、シェルター並みの耐震性を持つ住宅に仕上げられるという。
なかやしきは、制震デバイス「ダイナミックファスナー」の全国販売を開始したことを2022年7月13日に発表した。
従来の筋かい金物を設置した家と比較して2階床の揺れ幅が最大80%軽減
西日本工業大学のデザイン学部 建築学科の古田智基教授は、地震で倒壊する家をゼロにすることを目的に、ダイナミックファスナーを開発した。ダイナミックファスナーは、1棟あたり40個のデバイスを筋交いに設置するだけで、高い制震効果をもたらし、倒壊を防ぐ。
具体的には、従来の筋かい金物を設置した家と比較して、ダイナミックファスナーを備えた家では2階床の揺れ幅が最大80%軽減される。加えて、1階のみの設置で高い制震効果を発揮するだけでなく、簡単に2階にも取り付けられる。さらに、取り付ける際に、特殊な技能は必要とせず、在来構法と変わりなく装着できるため、設置コストが抑えられる。
また、ダイナミックファスナーの素材は日本製で、金属部分の全体を高減衰ゴムで覆うことにより腐食に対する抵抗力を高め、高耐久性も確保した。使用されている高減衰ゴムは、ビル用免震で使用されているものと同じゴムを活用し、促進劣化などの耐久性実験を実施してビル用免震と同じ60年間の耐久性を確認している。
なかやしきは、ダイナミックファスナーのデバイスを設置した住宅を「おうちまるごと制震シェルター」と名付け、全国の商社を通して販売する。ダイナミックファスナーのサイズは1個あたり幅が151.6ミリで、高さは181.4ミリ。価格は1ケース10個入りで、8万8000円(税込み)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 大地震によるRC造建物の柱と梁の接合部で生じる損傷を防ぐ新構法、耐震性能を10%向上
大成建設は、大地震時の揺れによるRC造建築物の柱と梁(はり)の接合部で生じる損傷を防止し、耐震性能を向上させる技術「T−HR構法」を開発した。今後、同社は、T−HR構法の適用範囲拡大を図るとともに、安全安心で耐震性に優れた高品質なRC造建築物を提供するため、T−HR構法の提案を行っていく。 - 損傷リスク低減や作業性を向上させたRC構造物に対する「耐震補強技術」の適用範囲を拡大
奥村組は、既存鉄筋コンクリート構造物の耐震補強技術として開発した後施工せん断補強鉄筋「ベストグラウトバー」の適用範囲を拡大させた。 - 建築構造物に適用へ、後施工耐震補強工法「ポストヘッドバー工法」
大成建設は、地中土木構造物の後施工耐震補強工法である「ポストヘッドバー工法」を、建築構造物の耐震補強工事にも積極展開するため、都市居住評価センターの構造評定を取得した。 - 耐震リフォーム向けオリジナル工法開発、フルスケルトン/部分的のどちらのリフォームにも対応
住友林業ホームテックは、木造住宅の耐震リフォームを対象にオリジナルの面材耐力壁を使用した工法を開発した。新工法は、耐震性を確保しつつ、施工性の向上も図り、工期短縮やコスト削減ももたらす。