東京23区の大規模オフィスビル供給量に関する調査結果を公表:産業動向
森トラストは、東京23区の大規模オフィスビル供給量に関する調査結果を公表した。2021年の大規模オフィスビルの供給量は61万m2となっており、過去20年で最も少ない。
森トラストは2022年7月5日、東京23区の大規模オフィスビル供給量に関する調査結果を公表した。2021年の大規模オフィスビル(オフィス延床面積1万m2以上)の供給量は61万m2となっており、過去20年で最も少ない。
同社は、2021年1月1日から同年12月31日にかけてオフィスビルの供給動向を調査した。同調査によると、2022年、2024年、2026年の供給量が少なくなる一方で、2023年、2025年の供給量は過去20年の平均供給量115万m2を超える見込みとなっている。
供給エリア別では、都心3区における供給が2022〜2023年で7割超を占める一方で、今後5年間では千代田区における供給割合が減少し、中央区と港区の割合が増加すると予測した。特に港区は、全体の5割に達するとしている。一方で、大手町、丸の内、有楽町など供給量が突出して多かった地域は、今後5年間で上位10地区から外れるとした。
また、2012年以降の開発用地別の供給動向では、建て替えに代わって都心3区での再開発などの低利用地、未利用地の開発が増加した。
2021年の新築大規模オフィスビルは、テナントが内定した供給床が約9割に達しており、2022年は約5割、2023年は約3割と予測した。既存ビルでは、都心5区の空室率が上昇傾向となっていたが、2021年下半期で一服している。
2020年に落ち込んだ成約総面積は2021年に反転し、2022年には一定程度回復する見込みとなっている。賃料も、一部エリアでは2019年と同レベルにまで回復している。
これらの結果は、コロナ禍を受けてのテレワークの普及によりオフィス需要が落ち込んでいたものの、その後対面コミュニケーションの重要性が再認識されることでオフィスに回帰する傾向にあることを示している。
また、今後5年間の大規模オフィスビルの平均供給が過去20年間を約3割下回る水準にとどまることから、需給バランスに変化が生じることが予測される。
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