大成建設が協調運転制御システムを南摩ダム本体建設工事に導入:導入事例
大成建設は、栃木県鹿沼市で施工を進める「南摩ダム本体建設工事(水資源機構発注)」に、複数の自動運転建設機械で協調運転を制御するシステム「T-iCraft」を導入した。具体的には、さまざまな機種・制御方式の建機に適用できるT-iCraftの特性を生かし、当該現場では建設作業用ロボット「T-iROBOシリーズ」の新建機「ダム建設用大型自動建機」に対して協調運転システムを適用している。
大成建設は、栃木県鹿沼市で施工を進める「南摩ダム本体建設工事(水資源機構発注)」に、複数の自動運転建設機械で協調運転を制御するシステム「T-iCraft」を導入したことを2022年8月3日に公表した。
2台の大型ブルドーザと2台の振動ローラを使用
国内では生産労働人口の減少や高齢化が社会問題となっており、生産性向上や労働力の確保は建設業でも大きな課題となっている。そのため、国土交通省では「i-Construction」を推進し、今後予測される人手不足への対応と生産性向上の取り組みを後押ししている。さらに、建設機械の自動化に関連する技術は、建設現場で早期に確立が望まれる技術の1つだ。
一方、大成建設は、2013年から自律型や遠隔操作で作業を行える建設機械「T-iROBOシリーズ」の開発に取り組んでおり、これらを組み合わせて協調運転させることで、生産性アップを推進してきた。
南摩ダム本体建設工事の現場には、T-iCraftとT-iROBOシリーズを導入した。T-iCraftは、条件が整えば最大32台の建設機械を協調制御するシステムで、パナソニック アドバンストテクノロジーの独自技術であるロボット自律制御と協調タスクプランニング技術を活用している。加えて、自動と有人の運転に対応し、全メーカー製の建機に使える。
今回の現場では、ダム建設用に開発した2台の大型ブルドーザや2台の振動ローラといった自動建機を用いて、「敷均(なら)し」と「転圧」の施工を制御し、ダム堤体盛り立てに関連する一連の作業で協調運転を実現した。
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