T-iDigital Fieldの施工と安全の管理機能を拡張、大成建設:ICT
大成建設は、インフォキューブLAFLAとともに、施工中に取得した膨大なデジタルデータを活用して、効率的に工事関係者間での情報共有を支援するシステム「T-iDigital Field」の機能拡張を行った。今回追加した機能は、建設現場の施工進捗管理および建機と作業員などのリアルタイム位置情報を地図化して現場での安全性を把握・管理する施工支援アプリケーション。
大成建設は、インフォキューブLAFLAとともに、施工中に取得した膨大なデジタルデータを活用して、効率的に工事関係者間での情報共有を支援するシステム「T-iDigital Field」の機能拡張を行ったことを2022年4月26日に発表した。
3タイプのアプリを搭載
今回追加した機能は、カメラビューや運搬土量他管理システムを用いた「大規模土工事施工進捗管理アプリケーション」とカメラビュー、入出坑管理システム、サイクルタイム管理システムを使用した「トンネル工事施工進捗管理アプリケーション」。加えて、カメラビューと建機・作業員位置管理システムを活用した「リアルタイム位置情報地図化による安全管理アプリケーション」も備えた。
さらに、今回のアプリケーションを工事特性に応じて、栃木県鹿沼市の「南摩ダム本体建設工事」や茨城県桜川市の「(仮称)上曽トンネル本体工事(桜川工区)」、静岡県熱海市の「令和3年度 逢初川水系応急対策工事」といった3工種の建設現場に導入した。
具体的には、南摩ダム本体建設工事では、カメラビューと運搬土量他管理システムを用いた大規模土工事施工進捗管理アプリケーションにより、運搬土量や運搬効率などを可視化し、大規模土工事施工進捗管理を行った。
上曽トンネル本体工事では、カメラビュー、入出坑管理システム、サイクルタイム管理システムを使用したトンネル工事施工進捗管理アプリケーションを用いて、サイクルタイムと稼働時間を見える化し、トンネル工事施工進捗管理を行った。両工事ともに、施工支援アプリケーションを使用することで、工事関係者間での迅速な施工状況把握や情報共有を実現し、作業時間のロスを低減して、効率的な施工管理を達成した。
令和3年度 逢初川水系応急対策工事では、カメラビューと建機・作業員位置管理システムを活用した、リアルタイム位置情報地図化による安全管理アプリケーションを利用して、建設工事の作業エリア全域における建機や作業員などの位置情報をリアルタイムに可視化して情報共有することで、安全管理を行った。また、土工事主体の災害復旧工事では、二次災害の可能性を踏まえ、危険区域内での作業状況や退避状況を一目で確かめられることが分かった。
各建設現場への導入結果から、機能拡張したT-iDigital Fieldは、さまざまな現場環境下でも効率的な施工・安全管理に使え、場所と時間を選ばずに、Webを介した情報共有により、多くの建設工事に適用することを確認した。
なお、機能拡張したT-iDigital Fieldは、災害復旧工事への適用を含む現場管理システムとして、国土交通省中部地方整備局公募の「令和3年度中部DX大賞」を受賞している。
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