東急建設がグリーンインフラ実証施設でホタルの累代飼育に成功:導入事例
東急建設は、神奈川県相模原市で保有する技術研究所に設置したグリーンインフラ実証施設内のビオトープで、2019〜2022年の4年連続でホタルの生息を確認した。これによりホタルの累代飼育を成功した。
東急建設は、神奈川県相模原市で保有する技術研究所に設置したグリーンインフラ実証施設内のビオトープ(水辺の生息空間)で、2019〜2022年の4年連続でホタルの生息を確認したことを2022年7月27日に発表した。
ヘイケボタル生育のノウハウを蓄積
同社では、2018年に、自然環境が持つ機能を活用したグリーンインフラの実証実験施設を技術研究所内に設け、雨水を「ためる」「使う」「自然に還す」、生き物が「すむ」「育つ」をキーワードに、都市型集中豪雨対策(雨水流出抑制、浸透促進)や環境保全の技術(雨水の有効利用、水循環の促進、動植物の生息・生育環境の創出)を検証している。
実証実験施設に配置された貯留水循環型ビオトープでは、水辺の指標種としてヘイケボタルを放流し、「生き物がすむ」環境が実現できているかを実証している。さらに、水質、温度、照度、風速など育成環境を継続して計測・調査することでヘイケボタル生育のノウハウを蓄積中。
加えて、実証実験施設でホタルが生息できる環境を構築し継続的に維持していくための技術を開発し、「ホタル生息環境システム」として現在特許を出願している。
また、東急建設グループでは、2030年に向けた長期経営計画で、3つの提供価値「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を経営の軸とした。具体的には、都市緑地の創出による二酸化炭素吸収源の確保や生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR;Ecosystem-based disaster risk reduction)などを達成するために、生物多様性保全への貢献は重要な取り組みとしている。
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