【第2回】“AI名寄せ”で業務負荷の軽減と分析精度の向上〜不動産ビッグデータ活用の第一歩〜:ITで変わる、不動産業界の現在と未来(2)(2/2 ページ)
昨今、不動産業界や建設業界をはじめ、さまざまな業界が注目している「ビッグデータ」。これまで蓄積したデータを活用することで、消費者や顧客ニーズの分析精度向上が期待されていますが、膨大な情報の整備が課題となり、ビッグデータの活用が進んでいない企業が多数存在するかと思います。アットホームホールディングスのグループ会社アットホームラボは、2021年8月に特許を取得した「集合住宅名寄せプログラム」と呼ばれるAIを活用した“名寄せ”の技術を独自開発しました。そこで連載第2回では、不動産業界が抱える課題に着目し、AI技術の開発背景や特徴、活用事例などについて解説します。
「AI名寄せ」技術の他業界への汎用性とは?
不動産業界だけでなく、さまざまな業界でも、データ整備の技術はニーズがあると予想しています。
長年事業を続けていくとデータは大量に蓄積されていきますが、そのデータをサービスなどに活用しようとしても、すぐに使えるデータにはなっていないと課題に感じている企業は多く存在しているのではないでしょうか。
しかしながら本技術は、不動産会社だけでなく他業界の持つデータの名寄せにおいても応用できます。実際に金融や医療など、多様な業界から声をかけていただき、現在利用いただいている企業もあります。その他にも、建設や建築などで技術活用できそうな業界はあります。なかでも、ビル名や住所を正しいデータとして整備する要望は多いと思われます。建物表記が統一されておらず、片仮名や漢字表記の混在、ビル名が省略されているなど、正式名称ではないデータを保有してしまうと、後々活用する際に不都合が生じてしまいます。
また、AI名寄せは、自社データの整備だけではなく、自社で管理しているデータと外部データを関連付ける際にも活用できるため、サービスへの展開や分析の幅を広げられるでしょう。
大量のデータは保有しているものの、データ活用に課題を感じている企業は、まずは大量のデータ整備から着手しましょう。しかし、長年蓄積された膨大なデータをいきなり整備することは大変なので、何の情報を整備する必要があるのか優先順位を決めてから作業に入ることをお薦めします。そのときに、AI名寄せの技術も活用いただけるかもしれません。
当社アットホームグループも、自社の業務にこの名寄せ技術を組み込むことで、これまで課題だった生産性向上や社員の業務負担軽減を実感できるようになりました。AIを採り入れた本技術は今後、多くの場面で必要とされるでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 【新連載】間もなく“宅建業法改正”、不動産取引における「電子サイン」の実態は?
間もなく2022年5月に宅地建物取引業法(以下、宅建業法)が改正され、不動産契約の場面においても、押印や書面交付のデジタル化が進むと予想されています。そこで、アットホームが実施した「不動産取引における書類のオンライン化・電子サインに関する実態調査」をもとに電子サイン利用の実態を解説していきます。※本記事は、宅建業法改正前(2022年4月時点)に執筆したものです。賃貸借更新時と賃貸借解約時における取引場面では、既に電子サインが認められています。 - 産業動向:東京都下の賃貸物件で人気の最寄り駅ランキング、全カテゴリーで1位は「町田」駅
アットホームは、不動産情報サイト「アットホーム」における賃貸居住用物件のコーナーで、閲覧数が多い人気の駅をまとめた「アットホーム人気の駅ランキング 東京都下編」を公表した。ランキングでは、総合順位と全てのカテゴリーで「町田」駅が1位にランクインし、さまざまな世帯に町田駅が人気なことが分かった。 - 産業動向:首都圏の賃貸物件で人気の最寄り駅ランキング、総合1位は「川崎」駅
アットホームは、不動産情報サイト「アットホーム」における賃貸居住用物件のコーナーで、閲覧数が多い人気の駅をまとめた「アットホーム人気の駅ランキング 首都圏編」を公表した。ランキングでは、総合順位やシングル向き物件、カップル向き物件のカテゴリーで「川崎」駅が1位にランクインし、さまざまな世帯に「川崎」駅が人気なことが判明した。 - 調査レポート:アットホーム、不動産取引書類のオンライン化&電子サイン実態調査
アットホームは、2020年4月以降に物件を購入または賃貸物件を新規で契約・更新・解約した全国の18〜50歳の男女440人を対象に、書類のオンライン化・電子サインの実態と今後の希望について調査を行った。 - 産業動向:Gomez賃貸不動産情報サイトランキング、1位は「LIFULL HOME’S」
ブロードバンドセキュリティは、「Gomez」のWebサイトにおいて「Gomez賃貸不動産情報サイトランキング」を発表した。総合第1位は、LIFULLが運営する「LIFULL HOME’S」だった。 - “不動産テック”を阻む諸課題とその対応策(後編):【特別寄稿:後編】改正宅建法が施行!不動産業界のデジタルシフトは実現するか?
本連載では、アドビが独自に実施した調査データを踏まえ、不動産業界での業務のデジタル化に立ちはだかる現状の課題を整理し、宅建法改正を受けて業務がどのように変わっていくのかを、アドビ デジタルメディア ビジネスマーケティング執行役員が前後編に分けて解説します。