クラウドで遠隔地から建設現場の安全を確認・検証・改善するアプリを開発、大成建設:ICT
大成建設は、西尾レントオールとともに、施工中に得られる膨大なデジタルデータを活用して、現場管理の支援や生産性向上を図る統合プラットフォーム「T-iDigital Field」にアプリケーション「KIZUKIAI」を導入した。KIZUKIAIは、適用することで、現場での警報などのさまざまな安全情報をリアルタイムに確認・共有でき、取得した情報の記録・分析に基づく事後の確認・検証・改善により安全性の向上が図れる。
大成建設は、西尾レントオールとともに、施工中に得られる膨大なデジタルデータを活用して、現場管理の支援や生産性向上を図る統合プラットフォーム「T-iDigital Field※1」にアプリケーション「KIZUKIAI」を導入したことを2022年6月8日に発表した。
※1 T-iDigital Field:CPS(Cyber-Physical Systems)の概念に基づき、施工中に得られる膨大な各種映像やセンサーによるデジタルデータなどを仮想空間上に集積・統合して、デジタルツインを形成するなど高付加価値な情報として工事関係者間へフィードバックするとともに、蓄積したデータをAIや多変量分析などにより、最適な解決策を導き出すことで、現場管理の支援、生産性の向上を目的として技術開発を進めている統合プラットフォーム。
警報の発生時刻やその際の現場状況などを記録・分析
建設現場では、安全管理を目的とした多様な対策が講じられており、現場状況を常時把握しながら危険を知らせるさまざまな警報装置などが設置されている。
しかし、警報装置のアラートや警告灯は、これまで発生した事象の記録や集計結果などを共有する仕組みがなく、予防という観点で安全管理に適用することが困難だった。そのため、安全に関わる情報を集約させ、確認や検証、改善などの情報を工事関係者間で共有し、安全に対する意識の向上や予防を図るような仕組みの構築が求められていた。
そこで、大成建設は、西尾レントオールとともに、現場状況を把握するために配置されたカメラ画像やセンサーで得られた多様なデータから、T-iDigital Fieldを介して安全に関する情報をクラウド上に集約・一元管理し、建設現場や事務所などの遠隔地からでも現場の安全管理を実現するアプリケーションのKIZUKIAIを開発・導入した。
KIZUKIAIは、事務所や外出先といった遠隔地から、建設現場で発生したあらゆる警報(建設機械への近接、クレーン吊荷状況、立入禁止エリア侵入、仮設備の異常)などの安全に関わるデータについて、いつ、どこで、どのように発生したかをリアルタイムに確かめられ、工事関係者間で情報共有し、安全意識の向上を図れる。
さらに、警報の発生時刻やその際の現場状況などを記録・分析し、事後の確認と検証により作業手順や設備の見直しなど、適切な安全改善策の立案が行え、安全に関わる情報を迅速にフィードバックすることで建設現場の安全性を高められる。
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