クラウド連携で警備ロボットがエレベーターを自動昇降、東芝エレベータが実証:EV
東芝エレベータは、汎用性の高いクラウドを用いることで、同社のエレベーターとZMP製の警備ロボットが連携する新機能を開発した。
東芝エレベータは2022年6月30日、クラウドを介したデータ通信によるエレベーター(EV)とロボットの連携機能を開発し、実証実験を行ったことを公表した。
汎用性の高いクラウドを活用することで、エレベーターがロボットをはじめとする多様な機器と容易に連携できるようになり、建物内のより充実したサービスへの活用が可能となる。
クラウドを活用した今回の実証実験では、ZMP製のロボットクラウド管理システム「ROBO-HI(ロボハイ)」と、エレベーターのクラウド間をデータ通信で連携させ、同社の無人警備/消毒用のロボット「PATORO(パトロ)」からの信号で人の手を介さずにエレベーターの目的階を選択。エレベーターの到着確認し、乗車、目的フロアへと移動した後、エレベーターを降車するまでの一連の動作を行った。
PATOROは、人が歩行する程度の速度で自動運転しながら、モニターに表示する豊かな表情や音声で周りの人とのコミュニケーションをとる人との共生を目指したサービスロボット。サイズは65.4(幅)×108.9(高さ)×80.0(奥行き)センチで、エレベーターやセキュリティゲート、スーパーマーケットの通路などの走行にも適する。
ステレオカメラやLiDARを搭載し、深度計測と周辺の障害物を検出しながら、環境に合わせて自動走行する。前後左右に360度をカバーするカメラを備えているため、遠隔操作での警備業務に加え、赤外線カメラの熱検知で、より確実に不審者を捕捉。さらに、電動散布器による消毒液の巡回散布も行える。
昨今、労働者不足や作業者の高齢化といった社会課題を背景に、オフィスビルや商業施設でのサービスロボットを活用した警備や清掃、自動配送などのニーズが高まっている。そのため、東芝エレベータでは、実証実験での結果分析を進めるとともに、建物の運用・管理の高度化・効率化といったサービスの向上に向けた汎用性の高いクラウドの研究・開発の取り組みも加速させていくとしている。
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