「古い建物だから3Dがない」に応える、点群撮影からRevitモデル変換までワンストップで提供:BIM
スマートスケープとヤマイチテクノが協業し、点群データの撮影からBIMモデル化までをワンストップで提供する新サービスをスタートさせた。
先進技術を活用したシステムインテグレーション事業を展開するスマートスケープと、OA機器や3D機器の販売、計測サービスなどを提供しているヤマイチテクノは、建設業界の3Dデータ活用推進に向けて、2022年5月24日より協業を開始した。
3Dスキャナーで取得した点群データをAIでBIMモデル化
現在、建設業を中心に建物やインフラ(橋、道路など)、プラントなどの情報を3Dモデルに変換したBIMモデルの活用が進んでいる。また、現実空間と仮想空間を融合し、自在に行き来する“デジタルツイン”が注目されているが、その実現には3Dモデルが必要となる。しかし、多くの既存建物は、3Dモデルが存在しないため、3Dデータ化する際には、3Dスキャナーを使用して、建造物の点群データを撮影し、構造化することが欠かせない。
スマートスケープは、3Dスキャナーで取得した点群データを短納期かつ低価格で3Dデータに変換するサービス「Scan2BIM/CIM」を提供しており、一方でヤマイチテクノは、3D技術の利活用のために、ハードウェアやソフトウェアの販売から機材のレンタル、計測業務受託までを行っている。
Scan2BIM/CIMによる点群データからBIMモデルへの変換プロセスは、3Dスキャナーで取得した点群データをAIの機械学習ベースの変換ソフトウェアへアップロード。AI画像認識により、壁、柱、配管などの構成要素を検出し、形状と位置座標を取得。APIでAutodesk Revit内に要素を作成し、その後、オペレーターが手動によりRevitで、点群データと同精度を確保するために、モデリングとテストを重ね、BIMモデルとして完成させる。
今回の協業で、今まで3Dスキャナーを保有していなかったユーザーでも点群データの撮影から3Dモデル化までのワンストップでの提供が可能となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(6):【第6回】GISや点群などAI発展のカギ“データ利活用”、インフラ維持修繕のデジタルツイン
連載第6回は、AI発展のカギとなる多種多様なデータ活用の在り方に関して、首都高や阪神高速などの事例をもとに解説していきます。 - BIM:大林組がビジュアル工程管理システムを改良、工事別進捗をリアルタイムに管理
大林組は、2021年7月に発表したビジュアル工程管理システム「プロミエ」の機能を拡充し、BIMを情報基盤とする現場施工管理のプラットフォームとして、建設プロジェクト全体の管理に使えるビジュアルプロジェクト管理システムに改良した。今後は、プロミエの機能拡充を継続するとともに、業務の効率化と生産性向上を推進していく。 - 製品動向:フジタが坑内でドローンの自律飛行を実現するシステムを開発、BIM/CIMとも連携可能
フジタは、センシンロボティクスと共同で、屋内などの環境でも安定したドローンの自律飛行を実現する「トンネル坑内自動巡視ドローンシステム」を開発した。トンネル坑内自動巡視ドローンシステムは、センシンロボティクスが開発した飛行制御技術とLiDARを使用したドローンを使用しており、非GNSS環境かつ暗所のトンネル坑内にでも安全で安定した自律飛行が行える。 - 点群:クモノスとRidge-i、3D点群モデリング事業で業務提携
クモノスコーポレーションとRidge-iは、3D点群モデリング事業での業務提携を開始した。共同サービスの第1弾としては、街並みや空間、建物をスキャンしてコンピュータ上に再現する「Virtual Visit」を提供する。 - BIM:現場稼働状況をリアルタイムに3Dモデルに反映するシステムを開発、大林組
大林組は、デジタル空間上でBIMの3Dモデルに周囲の地形やクレーンの位置、就労人員などの稼働状況をリアルタイムに反映する「4D施工管理支援システム」を開発した。4D施工管理支援システムは、人の移動情報やIoT化されたモノの情報を取得することで、容易にデジタル空間に再現できる汎用性を備えている。今後は、実証実験を通じて現場ごとに必要な情報を管理し、使えるプラットフォームとして構築して、運用することで、建設業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現していく。 - CAD:DWG互換CAD「BricsCAD V22日本語版」をリリース、IFC/Revitの互換性や点群機能を拡充
図研アルファテックは、2次元/3次元/BIMの設計に対応するDWG互換CADソフトウェア「BricsCAD」の最新日本語版を発売した。