新たな3D仮想都市浸水シミュレーションモデル、東京海上日動火災保険ら:防災
東京海上日動火災保険は、応用地質やTengun-labelと共同で、台風や集中豪雨などによる浸水被害の可視化と即時把握につながる「3D仮想都市浸水シミュレーションモデル」を開発した。今後は、モデルを高度化することで、全国各地の自治体向けに、防災計画や浸水対策、被災後の活動支援を達成する防災・減災サービスを提供することを目指す。
東京海上日動火災保険は、応用地質やTengun-labelとともに、台風や集中豪雨などによる浸水被害の可視化と即時把握につながる「3D仮想都市浸水シミュレーションモデル」を開発したことを2022年3月25日に発表した。
大分県日田市で3D仮想都市浸水シミュレーションモデルの有効性を検証
東京海上日動と応用地質は、2021年6月に戦略パートナーとしての提携をスタートし、防災用のIoTセンサーで収集したデータや気象データ、ハザードデータなどと国土交通省が整備を進める3D都市モデル「PLATEAU(プラトー)」を組み合わせた「3D仮想都市浸水シミュレーション」の開発を進めてきた。
さらに、3D点群データの解析とシミュレーション分野で強みを持つTengun-labelが参画し、人工衛星データや防災IoTデータの活用を見据えた3D 仮想都市浸水シミュレーションモデルを開発した。
3D仮想都市浸水シミュレーションモデルでは、3D仮想都市を再現しているだけでなく、仮想空間上に、防災IoTセンサーや止水版などを設置することで効率的な被害把握と浸水対策の効果検証を行える。
加えて、PLATEAUがカバーしている「大分県日田市」を対象に、2021年11月〜2022年1月の期間で、3D仮想都市浸水シミュレーションモデルの有効性を検証した。
今後は、複数の自治体で、対象都市の地形特性を踏まえた浸水被害の即時把握・被害予測支援サービスや自治体の防災計画策定支援サービス、要支援者避難計画策定支援サービス、地域住民への防災啓発活動支援サービス、防災・減災改修工事支援サービスに関するニーズを調査し、有効性を検証することで、3D仮想都市浸水シミュレーションモデルの機能を高度化する。
また、2023年度中に全国各地の自治体に3D 仮想都市浸水シミュレーションモデルのサービスを提供することを目指す。
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