パナソニック ハウジングシステム事業部が株式会社に、CO2排出量実質ゼロが目標:ニューノーマルを勝ち抜く事業戦略
パナソニック ハウジングシステム事業部は2022年4月1日に、パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社となった。今後は、さまざまな住まいの問題を解消する住宅設備や環境に優しい取り組みを展開し、事業の裾野を広げる。
パナソニック ハウジングシステム事業部は2022年3月30日、東京都千代田区の東京国際フォーラムホールで、パナソニック ハウジングソリューションズの発足発表会を開催し、同年4月1日に事業部から株式会社になることを公表した。
会場では、パナソニック ハウジングソリューションズ 代表取締役 社長執行役員 山田昌司氏が、あいさつと会社の説明を行った。
2021年度の売上高は4500億円
山田氏は、「パナソニック ハウジングソリューションズは、連結従業員数が1万47人で、連結拠点数については、25件の製造拠点と63件のショールームを保有している。ショールームが63件というのは、パナソニックグループ内の企業で多い。当社の主要事業は、“くらし”に関わる商材をトータルで提供することで、2021年度の売上高は4500億円を見込んでいる」と述べた。
続けて、「当社では、“くらしの空間から、持続性がある豊かな社会をつくっていく”ことをミッションに掲げ、ビジョンは“住生活に関わる確かな技術で、領域を広げ、ともにまだない日常を生み出す”で、“くらし設備建材ソリューション”や“くらし価値イノベーション”と“くらしテクノロジーイノベーション”にチャレンジする」と補足した。
具体的には、くらし設備建材ソリューションでは、同社の主力製品である各住宅設備をセットにし、さまざまな住まいの問題を解消するツールとして提供するだけでなく、設備の生産などで水平分業を実現する。
くらし価値イノベーションでは、バリューチェーンの下流に位置するテクノストラクチャー工法やエレベーター、内装のエンジニアリング業務を対象に、企画、設計・施工、メンテナンスのサービスを強化し、事業領域を広げる。
くらしテクノロジーイノベーションでは、以前にパナソニック ハウジングシステム事業部で開発した真空断熱ガラス「Glavenir」やアブラヤシの廃材を活用した再生木質ボード化技術「PALM LOOP」の展開を進めていく。「アブラヤシの廃材は、温暖化ガスが発生し、アブラヤシの栽培が盛んな東南アジアでは課題になっているため、PALM LOOPでアブラヤシ廃材の削減を後押しし、環境保全につなげる」(山田氏)。
環境配慮に関しては、パナソニック ハウジングソリューションズの事業に伴うCO2の総排出量をカットして、2030年度に全事業場でCO2排出量実質ゼロを目指し、社会に対しては、PALM LOOPによりCO2の低減に貢献する他、省エネと再エネ商材の普及を推進する。
また、会場では、女優の蒼井優さんが出演するパナソニック ハウジングソリューションズのCMが披露された。
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