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独自開発の「真空断熱ガラス」が欧州で高評価なのはなぜか?事業撤退したPDPメンバーのリベンジパナソニックが考える「2020以降の街づくり」(1/3 ページ)

パナソニックでプラズマディスプレイパネル(PDP)の研究に携わっていたメンバーが、PDPで培った技術を生かし、全世界で1兆円規模にも上る断熱ガラス市場で戦える「真空断熱ガラス」を開発した。

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 パナソニック ライフソリューションズ社は真空断熱ガラス事業を加速している。2019年12月12日には、強化ガラス仕様の真空断熱ガラスを開発するとともに、業界初となる透明ピラー仕様の真空断熱ガラスの実用化に成功したと発表した。

 真空断熱ガラス事業の成り立ちや商材の特長、新製品のアピールポイントなどについて、パナソニック ライフソリューションズ社 ハウジングシステム事業部 建築システムビジネスユニット 新建材事業推進部 木村猛氏と同ユニット 基礎技術開発課 瓜生英一氏に聞いた。

薄さ6ミリの真空断熱ガラスを実現


パナソニック ライフソリューションズ社 ハウジングシステム事業部 建築システムビジネスユニット 新建材事業推進部 木村猛氏

 木村氏は製品説明の前提として、「新製品をはじめ、パナソニック ライフソリューションズ社の真空断熱ガラスには、プラズマディスプレイパネル(PDP)開発で培った技術が活用されている」と話す。真空ガラス事業を担当するチームに、パナソニックが2014年に事業撤退を表明したPDP事業のメンバーが数人組み込まれているからだという。

 「PDP事業が解体されることが分かり、PDPで得た技術を生かせる市場を模索していた時に、真空断熱ガラスであるLow-E複層ガラスの構造がPDPと似ていながら、値段が下がり続けるPDPとは対照的にマーケットで高値で取引きされていることを知り、市場への参入を決めた」(木村氏)と当時を振り返った。


PDP(左)と真空断熱ガラス(右)の構造 出典:パナソニック ライフソリューションズ社

 このチームはPDP開発で得たノウハウと、パナソニック ライフソリューションズの生産および断熱性評価技術を組み合わせ、2017年に約6ミリの薄さで業界最高クラスの断熱性能を有する真空断熱ガラスの開発を成し遂げた。開発した真空断熱ガラスは、パナソニックの完全子会社である米国の冷凍・冷蔵ショーケースメーカーHussmannのコンビニやスーパー向け冷蔵ケース用自動ドアなどに導入した。


開発した真空断熱ガラス(左)とハスマン製品での仕様イメージ(右) 出典:パナソニック ライフソリューションズ社

 2018年10月には、PDP製造時の取引き先であったAGCと協業し、欧州市場向けに薄さ約6ミリの真空断熱ガラスを共同開発し、2019年4月には欧州住宅市場への生産をスタートして、順調に成果をあげている。主に、パナソニック ライフソリューションズ社は製品設計を担当し、最適なガラス素材の供給をAGCが実施した。共同開発品は、パナソニック ライフソリューションズ社が「Glavenir」、AGCが「Fineo」という名称でそれぞれ展開している。

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