2030年度に売上高5500億円を目指す、パナソニック ハウジングシステム事業部の3つの成長軸:ニューノーマルを勝ち抜く事業戦略(1/3 ページ)
住宅だけでなく、最近は非住宅の領域でも、外装材や建具などの建材を市場に供給しているパナソニック ハウジングシステム事業部は、2022年に事業会社化するのに伴い、2030年度に売上高5500億円を目指す、3つの軸から成る新たな戦略を打ち出した。
パナソニック ハウジングシステム事業部は、2022年4月に「パナソニック ハウジングソリューションズ」へと事業会社化するのに先立ち、2021年11月2日に事業説明会を大阪府門真市の同社門真構内 住建2号棟会議室で開催した。当日は、パナソニックが持株会社制へ移行するため、2021年10月1日にカンパニー制を廃止してグループを再編し、ハウジングシステム事業部が2022年に新体制へと変わることについて、事業部長の山田昌司氏が今後の事業戦略とともに説明した。
「住生活に関わる技術で、まだない日常を生み出す」
2020年にパナソニックの直轄となった現行のハウジングシステム事業部では、暮らしに関わる住宅設備や建材の企画/開発から、製造、販売、施工を担うエンジニアリング、アフターサービスまで、トータルで住宅/非住宅の市場に提供。従業員数は約1万人(2021年9月末時点)、連結の拠点数は製造23拠点、パナソニック内でも最多となるショウルーム63拠点の体制を敷く。
ハウジングシステム事業部の事業領域を引き継ぐ形で、2022年4月にパナソニック ホールディングス傘下の事業会社として設立されるパナソニック ハウジングソリューションズでは、「暮らしの空間から、持続性のある豊かな社会をつくっていく」をミッションに定め、「住生活に関わる確かな技術で領域を拡大し、ともにまだない日常を生みだし続ける」という将来ビジョンを掲げる。
足元の業績について山田氏は、「2020年度は新型コロナの影響で落ち込んだが、2021年度上期で落ち着いたため、売上高はウッドショックなどマイナス要因はありながらも回復し、約4500億円となる見通し。営業利益率は、2018年に社内体制が製販一体となり、価格のマネジメントや営業施策が、モノづくり側のユニットと一緒に取り組めるようになった効果が表れ、改善したことで、2021年度はパナソニック連結の5.1%と同水準にまでとなった。2022年度以降は、新たな事業戦略に本格着手する」と説明する。
ハウジングシステム事業部で扱う商材は、1958年の雨どいを出発点に、2021年にはシステムキッチンやバス、建具、床材、構造材、樹脂サッシなど、現在13品目にまで拡大。加えて、エアコンや換気扇、エコキュートなど、パナソニックグループ内で保有する暮らし関連建材と合わせ、ワンストップで住宅の供給主体へスペックインの提案をできることが強みとなっている。
「ハウジング事業は物販だけのイメージが強いが、企画/開発〜製造の各ビジネスユニットをはじめ、販売/施工の営業本部とパナソニック AWエンジニアリング、施工のエンジニアリング事業を担当する個社4社で全工程をカバーしている」(山田氏)。さらに、スケルトン(完成躯体)の木造工法や木+鉄の耐震工法「テクノストラクチャー」を手掛けるパナソニック アーキスケルトンやパナソニック エレベーターなどとも協力することで、バリューチェーン全体を押さえた事業展開も視野に入れている。
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