戸田建設が掘進状況クラウド監視システムを開発、全国のシールド掘進状況を可視化:導入事例
戸田建設は、場所を選ばず、シールド工事の掘進状況をどこからでもリアルタイムに監視できる掘進状況クラウド監視システム「TSビューワー」を開発した。TSビューワーを用いて掘進状況を一元管理することで、トラブルの予兆を迅速に知られるようになり、的確かつ高度な施工管理を実現する。
戸田建設は、将来想定される熟練工不足を補うために、各工種で施工の自動化に取り組んでおり、その一環としてシールド工事を対象に、最新のICTを駆使し掘進状況をどこからでもリアルタイムに監視する掘進状況クラウド監視システム「TS(Toda Shield)ビューワー」を開発したことを2022年3月30日に発表した。
排土量のデータも扱えるようにする見通し
TSビューワーでは、全国で施工を進める全シールド工事の掘進管理システム(任意のシステムに対応)や掘進の進捗、土圧、ジャッキ速度などの計測データ、掘進機の位置をクラウドサーバに転送する。クラウドサーバに集約したデータは、インターネット上に設けたWebサイトで誰でもイメージしやすいようにグラフや図で見える化。
TSビューワーを導入することで、PCやスマートフォンなどを用いて、場所を選ばずいつでも必要な情報にアクセスすることが可能な他、掘進状況に問題がある場合にはタイムリーな改善指示を行うことで、未然にトラブルを防げる。
具体的には、TSビューワーの掘進状況画面では、リアルタイムに土圧やジャッキ速度などの掘進状況を確かめられ、掘進位置画面では、掘進機位置とシールド路線に近接する構造物などを見渡せる。さらに、掘進位置画面では掘進機位置とシールド路線に近接する構造物などをチェックできる。
今後、戸田建設は、泥土圧シールド工事を対象に、陥没や空洞といった地盤変状の要因となる排土量のデータをTSビューワーで扱えるようにする予定だ。さらに、こういったデータを、掘進工の業務をAI(人工知能)化したシステム「AI Transform Shield」に反映し、シールドの自動運転化を推進していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 大成建設、シールド工事向けCIMシステムを構築 施工管理情報の統合と見える化
大成建設は、シールド工事における施工管理情報・記録を統合し、見える化したCIMシステム「T-CIM/Shield」を発表した。新規受注工事に対して積極的に導入を図り、第1弾として、首都高速道路発注の高速横浜環状北西線シールドトンネル工事に導入するという。 - シールド工事をAIで自動化、専門技術者の判断を代替
戸田建設は、トンネルのシールド工事をAI化で自動化する「AI Transformシールド」を開発した。今までは、専門技術者の判断に頼っていた掘進管理データをAIに置き換えることで、掘進管理を効率化させ品質の向上にもつなげる。 - トンネルシールド工事に“CIM”導入で計画立案の時間を半減、鹿島
鹿島は、CIMを山岳トンネル工事に採り入れ、地中のシールドトンネル線形を3次元モデル化することで、掘進管理の強化と生産性の向上を実現する新システムを開発した。既に茨城県那珂郡のガス導管シールド工事に適用し、有効性が確認されたという。 - 下水道シールド工事、スマホで安全と効率を高める
日本下水道事業団は東京都下水道局から受託した下水道シールド工事に、スマホやタブレット端末を活用した情報管理システムを導入する。地上から離れた長距離のトンネルをシールド機で掘り進める必要があり、迅速な情報共有による安全性の向上と工事監督の効率化に役立てる。