トンネルシールド工事に“CIM”導入で計画立案の時間を半減、鹿島:CIM
鹿島は、CIMを山岳トンネル工事に採り入れ、地中のシールドトンネル線形を3次元モデル化することで、掘進管理の強化と生産性の向上を実現する新システムを開発した。既に茨城県那珂郡のガス導管シールド工事に適用し、有効性が確認されたという。
鹿島建設は2019年10月30日、CIMを活用してシールド工事の掘進管理を“見える化”するシステム「KaCIM’S(カシムズ)」を開発し、実工事に適用したことを明らかにした。
シールドトンネルを3次元化し、合意形成や計画立案を効率化
KaCIM’Sの適用により、シールド掘進/セグメント組立計画での出来形予測やシールドトンネルの出来形管理が、高速で高精度に3次元モデル化されるため、確実な掘進の管理が可能となる。同時に、工事関係者の合意形成や業務の効率化も図れ、施工品質や生産性が格段に上がる。
開発の背景には、掘進組立計画やシールドの掘進管理は、別々の帳票による管理が必要なため、煩雑で作業時間が長時間に及んでいたことが理由としてある。
また、掘進組立計画は、最初に測量を行い、シールド機とセグメントの座標/方位/ピッチング(上下の姿勢)を正確に把握して、現地点からの掘進方位やセグメントの割り付けを決め、掘進組立指示書を作成しなければならない。許容偏差内でシールド機とセグメントの進行軌跡が一致する計画が求められる他に、曲線施工や蛇行修正でシールド機とセグメントが接触すると、ひび割れなどの不具合が発生してしまうため、余掘りの範囲と量、中折れの角度などを正確に判断する精度が必須となる。
KaCIM’Sは、蛇行量やシールドマシンのクリアランス、曲線施工の余掘り量を3次元で可視化することで、定量的に把握し、掘進軌跡を予測・図化するシステム。掘進方位などの必要な情報を入力するだけで、瞬時にシミュレーションを行い、指示値の妥当性を視覚的に示す。掘進組立計画に要していた時間の大幅な短縮と、計画の精度を今まで以上に高められる。
具体的な導入メリットとしては、掘進方位などの必要情報をシステムに入れるだけで、指示書を自動作成。計画立案までの時間は従来と比べ、50%短縮される。3次元モデルは、管理値の超過箇所などが色別にカラー表示され、理解しやすく、施工管理者とオペレータの認識に差が生まれにくい。さらに、計画と実績の差や原因はデータとして記録されるため、今後の掘進計画や他のシールド工事にも反映すれば、1つのトンネル工事の現場だけでなく、全体的な施工品質のアップも見込める。
鹿島建設では、これからKaCIM’Sをシールド工事のコアシステムとして適用現場を拡大していき、データを蓄積。将来は貯まったデータをAIで分析することも見据えて、シールド工事の全自動化を目指す。
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