下水道シールド工事、スマホで安全と効率を高める:情報化施工
日本下水道事業団は東京都下水道局から受託した下水道シールド工事に、スマホやタブレット端末を活用した情報管理システムを導入する。地上から離れた長距離のトンネルをシールド機で掘り進める必要があり、迅速な情報共有による安全性の向上と工事監督の効率化に役立てる。
日本下水道事業団は、東京都下水道局から受託した下水道シールド工事「東京都芝浦水再生センター・森ヶ崎水再生センター間連絡管工事」の作業現場に、「スマホ対応型情報管理システム」を導入する、受発注者間の情報共有強化による安全性向上と、工事監督業務の効率化に活用する狙いだ。
この工事は最大土被り58mの大深度・高水圧下で、路線の大部分が運河下にある約2300mの長距離をトンネルをシールド機で掘り進める。掘進する土層には可燃性ガスであるメタンの溶存が確認されており、出水や可燃性ガス発生などのリスクが想定される。さらに、地上からトンネル内までの距離が離れているため、工事監督における受発注者間の情報共有と、有事の際に迅速に対応できる体制づくりが求められる。そこで今回、スマホ対応型情報管理システムの導入を決めた。
スマホ対応型情報管理システムは、トンネル坑内と地上に、無線LANを使用したインターネット環境を整備。スマホやタブレット型端末などから、坑内に設置したWebカメラの監視画像やシールド掘進情報などをリアルタイムに確認することができる。
シールドの監視画像や掘進管理情報などを継続的にスマホから確認することで、トラブルの発生を予防に活用する。万が一トラブルが発生しても状況確認が即座に行えるため、その後の迅速な対応にも役立つ。
平常時においても、リアルタイムにどこからでもスマホやタブレット端末から切羽圧、掘削土量、ジャッキ推力などの掘進管理情報、掘進位置、日進量といった掘進進捗状況などの各種情報を確認できるため、工事監督業務の効率化も図れるとしている。
なお、この工事は現在シールド発進準備中している段階で、2017年2月下旬に掘進開始する予定です。同時に真円度を自動計測するシステムなど、他のICT技術も導入しており、これらの品質向上、生産性向上の効果についても検証する計画だ。
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