「10年後の売上高1000億円」に向け、技研製作所とアクティオが業務提携:業界動向
技研製作所は、10年後の売上高1000億円を目指し、圧入引抜機「サイレントパイラー」によるインプラント工法(圧入工法)の新規ユーザーを国内外で開拓すべく、アクティオと業務提携を結んだ。
技研製作所は、建設機械レンタル大手のアクティオとレンタル業務提携契約を締結したことを2022年3月24日に発表した。今回の提携は、技研製作所が中期経営計画で掲げる「(国内外の市場で)10年後の売上高1000億円」の実現に向けた大きな一歩と位置付け、アクティオの有する広域レンタルの営業網を生かし、新規顧客の開拓を加速させるとともに、需要増に対応する機械の供給体制を整える。
アクティオのレンサルティングに圧入機と圧入工法のノウハウを追加
技研製作所では、アクティオが提案型の建設機械レンタル「レンサルティング(コンサルティングを含むレンタルの造語)」を通し、数多くの建設会社や専門工事会社と取引しているため、顧客開拓の強力なパートナーと成り得ると期待を寄せている。レンタル機器のラインアップに油圧式杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を加えるだけでなく、圧入工法のノウハウも提供することで、両社の連携によるシナジー効果は「工法革命」のうねりを一層大きくし、建設の新しい時代の創造を見据える。
今回の提携では、一般汎用機(単独圧入機、硬質地盤対応機)をレンタル機として販売し、両社で顧客開拓を進める。技研製作所は、機器以外にも、保守や現場技術、営業などのノウハウを提供し、アクティオのレンサルティングをサポートする。
顧客開拓の具体的な方針は、技研製作所のユーザーが専門工事会社の一部に限られるため、これからは圧入技術に触れたことのないユーザーに対してアクティオの広域営業網を活用し、その価値を体験してもらう。建設会社や工事専門会社に対する技術の浸透は、さまざまな工事分野に顧客の裾野を広げる提案活動の追い風にもなるとしている。
今後は、活動拠点として2022年5月より東京都足立区にある技研製作所の東京工場を貸し出し、スタッフがエンジニアに整備や保守技術、現場技術(オペレーター向け)の教育研修を行う。こうした圧入工法に関わる事業の定着を図りながら、広域的な事業運営を目指して拠点整備に着手し、段階的に運用台数を増やす。
アクティオは、東南アジアを中心に7つの海外グループ会社(タイ、マレーシア、台湾、シンガポール、ミャンマー、インドネシア)があり、日本と同様にレンサルティングを展開。技研製作所でも、グループ企業のGiken Seisakusho Asiaは、シンガポールを拠点とするアクティオのグループ会社AKTIO PACIFICと指定工場契約を結んでいる。
将来は、アクティオの海外拠点にも圧入機のレンサルティングを拡大し、長期ビジョンの「海外売上比率7割」を達成するためのパートナーとしても密に連携していく。
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