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「旧九段会館」の復元工事を披露、貴重な部材を残しつつ復元する手法とは?:プロジェクト(3/3 ページ)
1934年に東京都千代田区で竣工した九段会館が、東急不動産と鹿島建設により、現行法規に合わせた仕様のオフィスに生まれ変わる。
東急不動産のコメント
見学会後、東急不動産の伊藤氏は、「九段南一丁目プロジェクトは、当社初の保存復元工事で、1934年に竣工した旧九段会館を現行法規に合わせた仕様に建て替えている。さらに、建物の入札条件で保存が求められた部屋を中心に残し、現在の施工技術で室内の部材を復元中だ。建物の竣工後は通常の施設と同様にメンテナンスする。今後も、保存・復元工事はチャンスがあれば挑戦していく見通しだ」と語った。
保存棟の概要
九段南一丁目プロジェクトは、S造(CFT造)・RC造・SRC造地下1階/地上5階建ての保存棟と地下3階/地上17階建ての新築部分で構成され、高さは約74.9メートルで、延べ床面積は約6万8108平方メートル。
所在地は東京都千代田区九段南1丁目5番1で、敷地面積は約8765平方メートル。用途は、事務所、店舗、集会場、駐車場など。アクセスは東京メトロ半蔵門線/東西線/都営新宿線「九段下」駅から徒歩1分。
設計は鹿島・梓設計・工事監理業務共同企業体が担当し、施工は鹿島建設が担っている。保存棟の竣工は2021年12月で、プロジェクト全体の竣工は2022年7月の見込みだ。
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