ハイブリッド耐火集成材や唐松湾曲構造用集成材の活用事例、齋藤木材工業:住宅ビジネスフェア2020(1/2 ページ)
齋藤木材工業は、1957年に法人組織に改組し、建築土木資材の製材を開始して以降、信州唐松材を使用した集成材「唐松構造用大断面集成材」の製造や鋼材と耐火集成材を組み合わせた「ハイブリッド耐火集成材」の開発、湾曲構造用集成材の量産化技術開発などを達成しており、国産材の活用に貢献している。
齋藤木材工業 代表取締役社長 齋藤健氏は、住宅の設計・施工や修繕、管理に役立つソリューションが一堂に会した専門展「住宅ビジネスフェア2020」(会期:2020年9月24〜25日、東京ビッグサイト)で、「非住宅の木造化・木質化の普及を支える当社の技術と課題」と題した講演を行った。セッションでは、齋藤木材工業の木材加工技術と木材産業の課題を紹介した。
1983年に信州唐松材を使用した集成材の製造を開始
齋藤木材工業は、1862年に設立した会社で、当時は酒樽の製造を主要事業にしていたが、1957年に法人組織に改組し、建築土木資材の製材を開始した。現在は信州唐松材と地域材を利用した構造用集成材や耐火集成材などの製造加工販売、木質構造建築物の設計・開発・施工、木造木質化アドバイザーなどの事業を展開している。
同社は、1983年に信州唐松材を使用した集成材「唐松構造用大断面集成材」の製造を開始し、1987年に国産材で、農林水産品の取り扱い方法についての規格(JAS)を取得した。1993年には、長野県松本市のスポーツ施設「やまびこドーム」における建設で、齋藤木材工業が製造した信州唐松材の大断面材と湾曲材が計1000平方メートル採用された。
「1983年において、唐松は建築用資材として扱われていない木材だったが、当社は各社に先駆けて唐松集成材の製造に着手した。1987年には、建築物に使用される木材は海外産が多かったが、国産材でJASを取得し、建築物での国産材の使用促進を推進した」(齋藤氏)。
1998年には、秋田県大館市のスポーツ施設「大舘樹海ドーム(現:ニプロハチ公ドーム)」における建設で、同社は1万5932本の秋田杉に高度な加工を施し導入した。斎藤氏は、「当社は1998年の段階で、CAD・CAM対応の木材用のCNCマシンを保有していたため、1万5932本に及ぶ秋田杉の加工に対応できた」と理由を語った。
2001年に、同社は信州唐松集成材用ラミナ専用の製材工場を稼働させた。同工場は、直径18〜34センチの丸太を加工可能で、唐松を用いた集成材とラミナのみを製造する。また、2人の作業員が勤務しており、月間1500立方メートルの集成材とラミナを生産している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.