2030年度に売上高5500億円を目指す、パナソニック ハウジングシステム事業部の3つの成長軸:ニューノーマルを勝ち抜く事業戦略(2/3 ページ)
住宅だけでなく、最近は非住宅の領域でも、外装材や建具などの建材を市場に供給しているパナソニック ハウジングシステム事業部は、2022年に事業会社化するのに伴い、2030年度に売上高5500億円を目指す、3つの軸から成る新たな戦略を打ち出した。
3つの軸から成る成長戦略の骨子
具体的な成長戦略では、近年の建設業界を取り巻く、環境配慮への関心の高まり、人口減少や人手不足、働き方や暮らし方の多様化といった社会変化を鑑みて、転換点に差し掛かっていることを認識し、「くらし設備建材ソリューション」「くらしテクノロジーイノベーション」「くらし価値イノベーション」の3つの軸を成長戦略の骨子としている。
くらし設備建材ソリューションでは、快適な暮らしを支えるための付加価値のある商品開発(新・価値創造)や他社との分業も含めた良質な商品の安定供給が可能な体制強化(業界構造変革)を図っていく。今までラインアップに無かったZEHやZEBに対応する樹脂サッシを、トクヤマの100%子会社エクセルシャノンに2020年3月に出資することで追加し、弱点だった非住宅向け内装建材シリーズも近日中にリリースする。
ただし、全てを自社で賄(まかな)う方針ではなく、得意不得意を補うために、既に検討を始めている他社異業種との水平分業で、幅広い良質な商品を安定的に供給していくという。
くらしテクノロジーイノベーションは、これまで培ってきた技術の新たな活用として、AGCとベルギーの工場に生産ラインを立ち上げ、2019年11月に発売した真空断熱ガラス「Glavenir(グラべニール)」がその一例。ほかにも、樹脂化の技術を用いた水栓や水制御技術(マイクロバルブ、水流設計)といったデバイスや現在開発中の広葉樹や針葉樹を使わない環境配慮素材などマテリアルの拡充にも注力する。
くらし価値イノベーションは、“新・工業化”と位置付け、パナソニック アーキスケルトンデザインが開発した木造軸組と2×4の長所を採り入れた「PSJ工法」の部材製造を行い、同社を介して出資しているウッドステーションとの連携を深める。ウッドステーションでは、木造軸組工法をパネル化することで工場生産を可能にし、窓サッシや断熱材などが一体成型された大型パネルを現場で組み立て、スケルトンとして提供している。そのため、省人化や短工期が見込める。
また、2021年4月に公表したビットキーとの資本業務提携で、ハウジングのIoTやITを活用し、これまでにない顧客体験や商品開発も行う。従来型のメーカー、流通、元請けの縦構造とは、別のプラットフォーマーやサービサーが関わる宅配BOXにIoTを活用するなど居住者の満足度を高める暮らしの新サービスを提供していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.