2020年度に“グローバルシェアトップ”パナソニックの次なる換気事業戦略、中国とベトナムに製販一体の新工場稼働:ニューノーマルを勝ち抜く事業戦略(1/3 ページ)
パナソニック エコシステムズは、1928年に換気扇の生産を開始して以降、国内外で換気事業を展開し、2020年度には換気扇の台数ベースでグローバルシェアNo.1に至った。現在はコロナ禍での換気ニーズも後押しし、中国や東南アジアの旺盛な需要に応じるべく、生産拠点を強化するなど、次の100年を見据えた事業戦略を展開している。
パナソニックグループのなかで、住宅と非住宅の換気製品を国内外で展開しているパナソニック エコシステムズは2021年9月27日、換気事業の戦略説明会をオンラインで開催した。
説明会ではパナソニック エコシステムズ 代表取締役社長 小笠原卓氏(パナソニック ライフソリューションズ社 常務取締役)がこれまでの歩みと、健康・省エネに配慮した「IAQ(室内空気質:Indoor Air Quality)」を踏まえたこれからの事業方針について説明した。
コロナ禍でさらに高まるIAQの重要性
パナソニック エコシステムズのグループ内での立ち位置は、小笠原氏が常務を兼任するパナソニック ライフソリューションズ社に属し、事業領域は家庭用の空間除菌脱臭機「ジアイーノ」や空気洗浄機などを販売している住宅向け「IAQ(室内空気質関連事業)」と、トンネル内の送風設備やクリーンルームなどの非住宅向け「ENG(環境エンジニアリング)」の2つのビジネスユニットから成る。このうち、主力のIAQは売り上げ構成比で約70%を占め、とくに近年は新型コロナウイルス感染症の空気感染を防ぐ有効策として注目を集め、世界的にもニーズが高まっている。
パナソニック エコシステムズのルーツを辿(たど)ると、1909年の川北電気企業社に行き着き、1913年には国産初の量産「交流式扇風機」を発売。以降、さまざまな換気製品を開発し続け、1950年代の大阪電気精器、1960年代の松下精工を経て、2008年に現社名へと商号を変更した。
この間に、1950年の建築基準法で台所での必要換気量が30KQ(3口コンロ)と規定されたことで煙やニオイの排出、1970年代には住宅が高断熱化したことによる結露など湿気の防止、さらに2003年の改正建築基準法では居室内の換気回数が1時間に0.5回と定められたことなど、各年代で住宅性能の進化や社会変化とともに、適合した局所換気(台所・浴室)や全居室での24時間換気といったさまざまな換気製品を世に送り出してきた。
現在では、2018年に換気扇生産累計は2億台に達し、2020年度のシェアは国内で34%、グローバルでは10%とトップにまで上り詰めた(パナソニック エコシステムズ調べ台数ベース)。
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