仕上げ工事の状況をQRコードでスマホから登録、作業時間を8割減「位置プラス進捗」:現場管理
竹中工務店は、現場管理アプリの「位置プラス」シリーズで4番目となる仕上げ工事の進捗を管理する「位置プラス進捗」を開発した。既に外販を進めている位置プラスシリーズのライアンアップの一つとして、2020年度中に販売を開始する。
竹中工務店は、仕上げ工事の進捗管理をPCやモバイル端末で管理できるアプリ「位置プラス進捗」を開発した。作業員がスマートフォンで、部屋ごとの工事の進捗状況を登録することで、現場の情報共有をリアルタイムで行うことが可能となり、元請、協力会社、作業員それぞれの手間削減が見込まれる。
内装工事で約8割の作業時間を削減
建築工事のうち、仕上げ工事の進捗状況は、部屋ごとに工事の作業手順を記した掲示を行い、作業終了時には、進捗状況を記入することで、職長や現場監督といった工事管理者が情報を収集。進捗図などを作成して情報共有を図る方法が一般的に行われている。しかし、この方法では、工事管理者の情報収集や進捗図などの作成、作業員との日々の調整に手間が掛かっていた。
位置プラス進捗は、作業員がスマートフォンなどで、部屋ごとに貼ったQRコードを読み込み、工事の進捗状況を登録するアプリ。工事管理者や作業員自身が、建設現場でよく運用している形式の鳥かご表や進捗図などで、部屋ごとの進捗状況をいつでもスマートフォン上で確認することが可能になる。これにより、工事管理者や作業員が各部屋を確認して情報収集し、作業調整をする手間が減り、進捗管理の効率化がもたらされる。
具体的には、各部屋の出入り口に設置したシートに、設備や床、塗装など工種別のQRコードを読み取り、作業開始や作業完了を選択して送信するだけで登録が完了する。登録された現場の状況は、鳥かご表、棒グラフ、進捗図の3種類で表示され、用途に応じて使い分けられる。
作業順序は、順序を飛ばすとアラートが表示される“直列作業”と、順序を飛ばしてもアラートが表示されない“並列作業”の2タイプで設定する。作業後に軽微な修正作業が残ってしまった場合には、ダメ残しを選んで、送信ボタンを押すだけで情報が共有されるため、次作業へスムーズに移行することができる。
位置プラス進捗では、指定日数の期間中に作業に進捗があったかどうかを一元管理するため、工事担当者が確認する部屋が極力少なくなり、業務の効率を上げることにつながる。
また、各部屋の作業に対して、作業に要した人数(人工)の任意入力欄も搭載されている。該当エリアの施工数量(平米数)と合わせることで、1部屋あたりの作業歩掛の算出にも使える。
竹中工務店では、約1万平方メートルの集合住宅新築工事作業所の内装工事を想定し、位置プラス進捗を導入した場合の業務量差を試算した。現場監督は、進捗情報収集と作業調整の時間が大幅に減少し、業務時間が最大で約80%も削減。さらに職長は約65%、作業員の場合は約35%の業務時間を減らせるとしている。
位置プラス進捗は2020年度中に外販を予定しており、集合住宅やホテルなどの仕上げ工事の進捗管理工数の多い現場の全職種に適用すれば、元請ゼネコンは各部屋の工事進捗や人工の実績をデータ化することで、管理効率が向上すると期待されている。協力会社にとっても、作業所の工事進捗状況を一元管理することにつながり、次作業の段取りや人員配置の効率化が図れる。
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