竹中工務店、高所作業車の予約管理アプリ開発
竹中工務店が、高所作業車の予約管理アプリを開発し、大学の建設現場で試験運用を行った。アプリ導入で、作業員が管理ホワイトボードの設置されている休憩所まで、予約の都度に往復する必要がなくなり、無駄な時間の削減や作業車の効率的な運用が可能となる。
竹中工務店は2018年4月10日、高所作業車の予約管理をモバイル端末上で簡単に実行できる予約管理アプリ「高車予約」開発したことを明らかにした。特許出願済みの新開発アプリにより、現場で使用する高所作業車の位置情報と予約状況がリアルタイムで把握でき、元請、協力会社、レンタル会社、それぞれの手間削減につながる。
利用・予約状況をリスト/マップ形式で表示
新開発のアプリ「高車予約」は、iPadなどのモバイル端末上で、高所作業車の利用・予約状況をリスト形式またはマップ形式で閲覧することができるアプリ。2016年に開発した位置認識技術「位置プラス探(たん)」と組み合わせ、現場内と高所作業車にビーコンを設置することで、位置認識が可能となり、現場近くにある高所作業車をマップ上から予約することも可能となった。
これまで作業車の管理は、元請がレンタル会社から、工事に必要な台数の高所作業車を一括で借り受け、日々の作業に応じて協力会社へ個別に貸し出していたため、管理が非常に煩雑(はんざつ)だった。さらに、予約や貸し出しの管理を旧態依然としたホワイトボードや紙の帳簿で行っていることもまだ多く、その都度、利用者が休憩所や元請の事務所まで移動して、入力・確認していたため、元請け、下請けの双方で無駄な時間が発生していた。
高車予約は、これらを解決すべく開発されたアプリで、どこにいても通信環境があれば、携帯端末上から全高所作業車の予約入力ができるようになる。
通信プロトコルにはMQTTを採用し、ユーザーがワンタップするだけで予約状況が他の全利用端末へ一瞬で反映される。複数業者で共有するスポット車と単独の業者で専有する専有車を分けて管理でき、専有車であっても使わない時間帯は「空」にして他の利用者に回せ、稼働率を高める運用も可能だ。また、予約状況はデータベースに保存されるため、利用率の低い高所作業車の特定も可能になる。
竹中工務店では、高車予約のアプリを大学新築工事の作業所に導入し、試験運用を行った。この現場では今まで、休憩所に設置したホワイトボードを使って予約管理しており、約20職種の作業員が予約・確認のため、毎日最大25分かけてホワイトボードまで往復していた。アプリ導入で、モバイル端末から即時に確認することが可能になり、現場での作業効率は改善。とくにマップ形式の予約画面で、作業場所の近くにある高所作業車が予約できるようになり、遠くにある作業車まで移動する時間も削減することができたという。
竹中工務店では、アプリを作業所の全職種に適用すれば、元請は予約率や貸し出し実績をデータとして把握でき、管理効率の向上につながるとしている。また、レンタル会社にとっても、作業所への高所作業車の納車・引き取りがスムーズになると期待している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- NIPPOの重機用緊急停止システムが安全規格第1号、重篤災害ゼロを目指し開発
NIPPOが、重篤事故ゼロを目指し開発した建設機械用の緊急自動停止技術「WSシステム」が、新しい安全規格「Safety 2.0」の適合第1号に認定された。WSシステムは2016年に実用化されたタイヤローラーとホイールローダーを対象とした緊急自動停止装置。これまでの警報音を鳴らして、危険を知らせるのではなく、より確実に安全性を確保するため、物理的に重機をストップさせることに発想を転換して実用化させた。 - 交通規制なしで、トンネル全断面を点検
東急建設は「トンネル全断面点検システム」の実証実験を千葉県内のトンネル工事で行った。自在に形を変えられるガイドフレームが、道路をまたぐことで、交通規制を敷くことなく、トンネル内の全断面を点検することができる。 - 高所作業車の見直しが、建築設計の自由度と安全性を高める理由とは?
「設計の自由度を高めたい」「施工作業を効率化したい」「工事の安全性を高めたい」――こうした建設業界の悩みを解決できるという、世界トップクラスのシェアを誇るJLGの高所作業車とは? - 竹中工務店がAIを育成、構造設計を70%効率化
竹中工務店は構造設計業務を効率化するAIシステムの開発に着手した。ベンチャー企業のHEROZと提携し、設計ノウハウを集約したデータから、実務に生かせるAIを育成していく。