大阪市で延べ2.9万m2のオフィスビルが竣工、EVの非接触操作や多様な空調機器を採用:プロジェクト
サンケイビルは、大阪府大阪市中央区で、新型コロナウイルス感染症の対策となりうる非接触でのエレベーター操作や多様な換気システムを採用したオフィスビル「本町サンケイビル」を開発した。現在、同社では本町サンケイビルの入居企業を募集している。
サンケイビルは、大阪府大阪市中央区で開発を進めていたオフィスビル「本町サンケイビル」が2021年8月31日に竣工したことを同年9月3日に発表した。
エントランスロビーに環境演出「モーション・グリーン・ウォール」を実装
計画地の本町エリアは、兵庫県神戸市や北摂エリア、大阪港といったウォータフロントエリアに近く、南大阪や奈良県方面などからもアクセスしやすい。アクセスは、Osaka Metro 御堂筋線/中央線/四つ橋線が交差する「本町」駅から徒歩1分の立地。
本町サンケイビルは、地上21階建てで、1階のエントランスホールや2〜21階のオフィスフロア、屋上のテラスで構成される。
エントランスロビーは、天井高が11メートルで、木のぬくもりを感じられるベンチやルーバーデザインを採用し、壁面緑化とLEDディスプレイを組み合わせた環境演出「モーション・グリーン・ウォール」も実装した。
モーション・グリーン・ウォールは、高さ約11メートルの壁面緑化や水のせせらぎと鳥のさえずりが聞こえる振動スピーカー、森の香り漂うアロマディフューザーで構成され、五感を刺激し自然の移ろいを時間の経過で表現する。また、本町通りに面した部分に賑(にぎ)わい空間「風のピロティ―」を設け、キッチンカーを誘致している。
オフィスフロアは、基準階のオフィスが約1110平方メートルで、都心型オフィスでは希少なオフィスフロアへ直結の自走式駐車場を用意した。各階のオフィスでは、貸室内の空気を1時間に2回入れ替える機械換気システムを搭載し、窓面の16カ所に外気を入れられる自然給気スリットを設けた。さらに、各フロアに配置された貸室扉の一部を自動化し、カードをかざすだけで扉の開閉を行えるようにした。
テナント専用の屋上テラスは、Wi-Fiや電源設備、座席予約システムを完備し、日差しを遮るオーニングを設けることで、入居者がワークプレースとして快適に使えるようにしている。
建物には、ボタンに触れることなく手をかざすだけで使えるエレベーターを設置した。エレベーターは、入居者が行き先階を事前登録したセキュリティカードをカードリーダーにかざすだけで勤務先のフロアに移動する。エレベーター内には換気ファンとイオン発生機を装着し空気を清浄化している。
施設内には、入居者の健康促進を目的に、「上りたくなる階段」を建物の南北2カ所に完備した。上りたくなる階段は、建物の高さを活用したもので、各国の都市と名所を標高で表したデザインや上った高さにより消費したカロリーを野菜と果物で表したデザインを随所に表示し、昇降を楽しめるように仕上げた。そして、シェアサイクルも導入している。
環境配慮について、上記の取り組みやLED照明の活用などで、「国土交通省 サステナブル建築物など先導事業(省CO2先導型)」や「CASBEE 大阪みらい(大阪市建築物環境性能表示制度)」で最高位のSランク、建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」で最高位の5つ星(ZEB Oriented)、「CASBEE-SWO」で最高位のSランクを取得した。
BCP対策に関して、制震ブレース構造を導入しているため高い耐震性を誇る他、異系統2回線受電方式と非常用発電機を採用し、停電時でも一定時間の電気使用を可能としている。加えて、貸室内への非常電源の供給を行える発電機設置スペース(300キロボルトアンペアに対応)を屋上に用意した。
本町サンケイビルの概要
本町サンケイビルは、S造・SRC造地上21階建てで、延べ床面積は2万9697.12平方メートル。所在地は大阪府大阪市中央区本町四丁目3番9号で、敷地面積は2455.84平方メートル。建物用途は事務所、店舗、駐車場。設計・施工は竹中工務店が担当し、着工は2019年11月1日で、竣工は2021年8月31日を予定している。
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