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「afterコロナでワークプレースの在り方が二極化」オフィス調査や企業事例からJFMA研究部会が考察ファシリティマネジメント フォーラム 2021(3/3 ページ)

新型コロナウイルス感染症の世界的なまん延に伴い、人々の働き方に大きな変化が生じている。以前はオフィスに出勤して業務をこなすのが一般的だったが、コロナ禍では多くの企業で、リモートによる働き方の価値が見直され、導入が加速した。“密”を避けるために、出社率を大幅に下げた企業もある。これに伴い、企業におけるオフィスの在り方を模索する「CRE(Corporate Real Estate:企業不動産)戦略」も、大きく変容しつつある。

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出社率を踏まえ、都内拠点の再編により賃料を削減した企業

■出社率の変化を踏まえて異なるCRE戦略を練る企業

 出社率の変化によって、企業は同じ戦略をとるとは限らない。講演では、出社率の減少という事態に対し、異なる選択をした企業も採り上げた。

 出社率30%が常態化している外資系企業では、もともとフリーアドレスやABWの概念はあったが、社員数はそのままに、コロナ禍になってから数カ月でオフィス拠点を6から3に縮小し、面積も2000坪から1300坪へと大幅に削減した。

 吉井氏は、会社の考え方が変わったのは、「リモートワークをベースにし、拠点フリーのベースオフィスレスにしていること」と話す。その企業ではABWのスペースもリモートを軸に調整し、面積比率や機能比率を変更している。


都内拠点の再編で借入を解消した例

 テレワークが普及すると、会議もオンライン上で行われるようになったため、オフィスに大会議室を用意する必要がなくなる。当該企業では、大会議室(300平米)をオフィススペースに改装し、65人分の座席エリアを作った。そして、余剰となったスペースを返却してしまった。

 これによって、社員数の1500人はそのままで、賃貸スペースが8000平方メートルから7600平方メートルまでにマイナス5%も縮小した。この方法は、入居しているビルが部分解約に応じてくれることが必要なため、吉井氏は「ビルのオーナーにとっても新しい課題なのでは」と語った。


オフィス面積の縮小で一部借入を解消した例

 出社率が50%になっても移転を行わなかった企業は、移転に伴うデメリットが多いと判断し、他の方法でコロナ対策を行っている。

 まず、固定席だったものをABWに変更し、3密を回避。さらに、以前にはなかったテレワーク制度を導入。部署ごとに書庫があり、多数の書類の中で行っていた業務をテレワークとABWによって紙を削減する方向へ導いた。これらによってオフィス内の人口密度を下げ、ソーシャルディスタンスがとれる環境を整えた。


面積を維持しつつ感染症対策を行った例

 この他にも、感染症対策として地方ビルへ移転し、面積拡大を図った企業では、入居するビルで窓が開けられず、換気の点で問題点があった。また、オフィス内が密集・密接で手狭にもなっていた。こうした問題を払拭する条件で賃貸物件を探すと、条件にあう物件は地方に多かった。最終的に地方へ移転した結果、オフィス面積が広がり賃料を抑えることができたという。

 企業はテレワークが難しい業種業態だったが、地方への移転によってオフィスのフロアを分散できるようになった。これによってクラスター回避が可能になり、密集・密接や窓を開けることによる換気が可能になった。講演では、バランスの良いCRE戦略に向けた工夫として紹介された。


感染症対策として地方ビルへ移転した企業の例

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