2020年度に“グローバルシェアトップ”パナソニックの次なる換気事業戦略、中国とベトナムに製販一体の新工場稼働:ニューノーマルを勝ち抜く事業戦略(3/3 ページ)
パナソニック エコシステムズは、1928年に換気扇の生産を開始して以降、国内外で換気事業を展開し、2020年度には換気扇の台数ベースでグローバルシェアNo.1に至った。現在はコロナ禍での換気ニーズも後押しし、中国や東南アジアの旺盛な需要に応じるべく、生産拠点を強化するなど、次の100年を見据えた事業戦略を展開している。
開・製・販一体の体制で、高付加価値の製品を市場に供給
両工場の概要は、パナソニック エコシステムズ 常務取締役 IAQビジネスユニット長 山内進氏が紹介した。
順徳第一分工場は、広東松下環境系統(PESESGD)の傘下で、香港からフェリーで2時間、広州から高速鉄道で1時間の位置にある順徳区内5万1875平方メートルの敷地に、延べ床面積4万3246平方メートルの規模で、熱交換気システムを2021年度に12万台、2023年度には20万台と送風機器も18万台の生産を見込む。
既存の順徳工場は1993年に操業を始め、2002年にはR&D部門の設立と中国国内に上海本部や営業所7カ所及び拠点20カ所を設置。今回の板金・樹脂部品・モータなどを自前で生産できる新工場を増設したことで、開・製・販が一体となった体制が本格的に敷かれることになり、チャイナスピードで高付加価値商品を継続的に市場展開することが可能となった。
ベトナム工場については、中国市場で培った換気事業を今後、成長が期待される東南アジアにも広げる意図で生産拠点の新設を図った。ベトナムの住宅トレンドではここ数年、従来の煉瓦(れんが)+RC造のストリートハウスから、戸建ての急増やスマートシティー化が進み、生活様式の変化による換気の必要性が急増している。そのため、パナソニック エコシステムズでは、2020年12月19日にベトナムでのIAQ規格策定を目的とした環境建設協会(VACEE)とのワークショップを開催するなど換気啓発活動にも取り組み、換気文化の追い風に乗り、市場でのけん引役となることを描いている。
ベトナム新工場は、ホーチミン中心部から45キロの立地にあり、敷地面積4万995平方メートルに、延べ床面積2万4066平方メートルの規模。2021年10月の工場稼働後には、2023年度にR&Dを設立し、開・製・販/企画を有する東南アジアの中核拠点として、2025年度には約300万台の各種換気扇やシーリングファンの生産体制を整える予定だという。
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