群馬・吾妻郡がパナソニックと実現した低コストの“防災対策リニューアル”、現地見学会レポート:BCP(5/5 ページ)
世界的な気候変動の影響により、このところ日本各地で、豪雨や台風による自然災害が頻発している。そのため、避難所の拡充などの防災対策には、各自治体でも重点施策の一つと目されている。一方でメーカーサイドでもソリューション開発には余念が無く、とくにパナソニックでは、パナソニック ライフソリューションズ社を中心に太陽光パネルと蓄電池、LPガスを組み合わせ、非常時でも効率的にエネルギーを提供できるシステムを地方自治体向けに提案している。その一例として、群馬県吾妻郡での公共施設リニューアルの実例を現地レポートとしてお届けする。
導入費用を大幅に抑えられる環境省の補助事業
これまで紹介してきた公共施設の防災リニューアル対策事業は、いずれも環境省が主導する「地域の防災・減災と低炭素化を同時実現する自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」を活用することで、設備導入費の補助を得ている。
ちなみに、西吾妻福祉病院では、総事業費は約6億6000万円を要したが、このうち4億5000万円弱を補助金で賄った。つまり、実質2億1000万円ほどでシステムが導入できたことになる。しかも、このシステムの導入によって年間の電気代は大幅に削減できる。他の施設も、額こそ違えど自己資金を抑えた形で効率の良いエネルギーシステムに更新しており、自治体にとっては防災対策を強力に後押しする制度となっている。環境省の補助事業は、令和3年度以降も内容を一部変更しつつ継続される見通しだ。
一方で、パナソニックは、嬬恋村に本社を構え本事業の施工とメンテナンスを担当した三原電業、吾妻地区の電気工事組合である吾妻電気工事共同組合と協力して防災リニューアル工事にあたった。地域に根差す工事業者との連携によって、単に防災ソリューションの提案だけでなく、導入時や平時、万一の災害時でも、現地でサポートできる防災対策を整えることができたという。
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