2020年度の建設市場は「民間の減少を公共土木が下支え」も、先行きの需要は弱含み:建設業の人材動向レポート(34)(2/2 ページ)
本連載では、建設HR 編集部(旧ヒューマンタッチ総研)が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、建設業の2020年度概況と2021年度の見通しについてリサーチした。
■2021年度も公共の工事が建設市場を底支え
手持ち工事高の前年同月比の推移を「民間」と「公共」で別々にみると、2021年3月は「民間」が100.2%に対して、「公共」は105.4%となっている(図表4)。2020年7月以降は、9カ月連続で「公共」の手持ち工事高の前年同月比が「民間」を上回っており、建設市場は2021年度も「公共」の工事が底支えする構造になると考えられる。
■2019年度と2020年度の建設需要は低迷
建設市場の需要の強さを示す指標として、「元請受注高」の推移をみると、2019年度には54兆5400億円(前年度比90.5%)にまで落ち込んだ(図表5)。2020年度についても前年度比99.2%と、2019年度とほぼ同水準の受注高になっており、東京オリンピック・パラリンピック関連の需要などで好調だった2018年度の9割レベルにまで、建設需要は下落している。
■民間の建設需要は大幅に低下するも、公共の建設需要は高まる
元請受注高の前年度比を「民間からの受注」と「公共からの受注」に分けると、民間からの受注高は2019年度が前年度比84.9%と大幅に落ち込み、2020年度についても同95.7%と前年度割れとなっており、民間における建設需要は低下している(図表6)。一方、公共からの受注高は、2019年度が同106.8%、2020年度は同107.3%と2年連続で前年度を上回っており、公共における建設需要は高まっている。
■考察
2020年度の建設市場の規模は52兆3784億円(前年度比増減率1.4%減)となり、新型コロナウイルス感染症拡大の中ではあったが、民間工事の減少を公共土木工事の増加が下支えする格好で堅調な動きとなった。
2021年度については、足元の工事量は公共の土木工事を中心に豊富であり、比較的堅調に推移するのではないかと考えられる。ただし、元請受注高は減少傾向で、とくに民間からの受注高が大幅に減少しており、公共工事が下支えをしてはいるが、建設需要全体としては弱含みで推移するのではないかと予測する。
著者Profile
建設HR
建設HRは、総合人材サービス事業を行うヒューマンリソシアが運営する「建設人事のお悩みに寄りそう」をコンセプトに、建設業界人のお困りごとに寄りそい、ともに向き合い、ときには半歩先の未来を提案するHRビジネス・パートナーとして、さまざまな記事などを発信するメディア。
同編集部では、建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析に関する独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信も行っている。
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