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2020年度の建設市場は「民間の減少を公共土木が下支え」も、先行きの需要は弱含み:建設業の人材動向レポート(34)(1/2 ページ)
本連載では、建設HR 編集部(旧ヒューマンタッチ総研)が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、建設業の2020年度概況と2021年度の見通しについてリサーチした。
今回は、国土交通省の「建設総合統計」と「建設工事受注動態統計調査」の最新のデータを用いて、建設業の2020年度の概況と2021年度の見通しについて分析する。
■2020年度の建設工事出来高は、52.3兆円(前年度比1.4%減)と微減
建設工事出来高の推移をみると、2020年度は52兆3784億円となった(図表1)。東京オリンピック・パラリンピック関連の建設需要がピークを迎えた2019年度の53兆1422億円から1.4%減少してはいるが、2018年度を上回る水準を維持している。新型コロナウイルス感染症拡大の影響も限定的であり、2020年度の建設市場は堅調に推移したと考えられる。
■民間工事の出来高が大幅に減少するも、公共の土木工事は増加
2020年度の建設工事出来高を工事種類別に対前年度との差異をみると、民間/建築・居住用が1兆1141億円の減少(対前年度比増減率7.0%減)、民間/建築・非居住用が9672億円の減少(同9.1%減)とともに大幅な減少(図表2)。
一方、公共/土木は1兆2380億円の増加(同7.1%増)で、民間工事の減少を公共の土木工事の増加で下支えする構造になっていることが分かる。
■足元の工事量は前年度を上回る
足元の工事量を示す指標となる「手持ち工事高」の推移では、2021年3月は31兆8055億円で前年同月比102.7%となっており、足元の工事量は前年度よりも豊富であることが窺(うかが)える(図表3)。
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