日立が「インフラテック実証プロジェクト」参画、地下埋設物を可視化:維持管理
日立製作所は、「インフラテック実証プロジェクト」において、レーダーやAI解析により社会インフラ保守の高度化に向けた実証に参画し、独自のサービスで下水道工事で課題となる地下埋設物を可視化する。
日立製作所は、福岡市が実施する、民間事業者のアイデアやAI・IoTなどの先端技術を活用して社会課題の解決を目指す「インフラテック(インフラ×テクノロジー)実証プロジェクト」において、テーマの一つである「地中レーダ等を活用した地下埋設物の検知」に関する実証に参画する。
実証実験において同社は、地中レーダー探査とAI解析を用い地下の埋設物情報の可視化を実現する「地中可視化サービス」により、下水道工事において課題となる水道管やガス管といった地下埋設物の試掘調査の高度化・効率化に取り組む。
「地中可視化サービス」は、同社が開発したソリューション:Lumada(ルマーダ)のAI・画像解析技術と、3次元地中探査技術を強みとし地質調査を専門とする応用地質と連携して提供する独自のサービスだ。
位置や寸法、属性といった地下埋設物情報を広域かつ高精度に可視化し、埋設管の設計・施工の効率化、埋設管の損傷事故や工期遅延の発生リスク低減を支援するという。今回の実証実験では、地中レーダー探査により地中の埋設物の位置情報を取得して可視化し、試掘結果と比較して測定精度を検証する。
下水道事業において埋設管の設計や施工の際には、インフラ事業者が図面から埋設物の位置を事前に確認する試堀調査を行い、埋設位置を特定して工事を実施しているが、実際の埋設管の配管位置が図面と異なるケースがあることや、時間的な制約などにより試堀調査では全ての埋設状況を把握することが難しいといった課題があった。
こうした背景から福岡市は、試堀と比較して短時間で広範囲の調査が可能な「地中レーダ等を活用した地下埋設物の検知」に関する実証実験を開始した。実証実験は2021年6月から翌年3月まで実施される予定だ。
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