NEXCO中日本が鋼橋の小補修工事に基本契約方式「Me守り契約方式」を試行導入:産業動向
NEXCO中日本は、鋼橋の損傷を計画的かつ効率的に補修するため、基本契約方式「Me守り契約方式」を「中央自動車道 八王子管内銅橋補修工事」「中央自動車道 大月・甲府管内銅橋補修工事」「中央自動車道 飯田・多治見管内銅橋補修工事」に試行導入した。
NEXCO中日本は、鋼橋の損傷を計画的かつ効率的に補修するため、一部の鋼橋小補修工事に基本契約方式※1「Me守(みまも)り契約方式」を試行導入したことを2021年4月28日に発表した。
※1 基本契約方式:あらかじめ入札公告などに提示した複数の同種工事に継続的に対処するため、基本的かつ共通的な事項に関する基本契約を締結し、その基本契約に基づき個別契約を締結して計画的に工事を行う方式
工事量の平準化や効率化に貢献
同社では、橋梁(きょうりょう)などの健全性を把握するため、5年に1回の頻度で、近接目視を基本とした点検を行っている。点検結果は、7段階に区分し、損傷の状態に応じて計画的に補修や補強を実施している。しかし、鋼橋は長年にわたる凍結防止剤の使用や自然環境などの影響で、橋梁部材の変状や亀裂の発生、腐食といった損傷の状態が個々に異なる他、損傷箇所が小規模で点在しているため、補修工事の入札が不調となりやすく、計画的で効率的に補修や補強を行えないことが課題となっている。
そこで、NEXCO中日本は、点在する鋼橋の小規模な補修や補強を必要とする部分を保全・サービスセンター単位などにまとめて発注する契約方式として、Me守り契約方式を試行的に導入することとした。
Me守り契約方式は、最大5年間を限度に工事の対象となる橋梁名称、施工内容、施工範囲など、工事全体に関する基本契約を締結し、年度ごとに個別契約を締結する。1回目の個別契約では、当年度分と次年度分の調査・設計業務と、当年度に実施する補修工事の契約を結ぶ。2回目以降の個別契約では、受注者が立案した「年度実施予定計画書」に基づき、調査・設計業務が完了した補修工事の契約を順次締結する。
Me守り契約方式のメリットとしては、最大5年間を限度とする基本契約期間の中で、受注者が抱えている業務量や業務執行体制などを考慮した個別契約を締結することができるため、工事量の平準化や効率化が期待される。また、受注者の業務執行体制に合わせて年度実施計画を立案可能なため、現場管理技術者の担い手不足に対応しやすくなる。
現在、「Me守り契約方式」が試行導入されている工事は、「中央自動車道 八王子管内銅橋補修工事」「中央自動車道 大月・甲府管内銅橋補修工事」「中央自動車道 飯田・多治見管内銅橋補修工事」の3件で、今後NEXCO中日本では、対象工事を追加していく。
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