OKIのAIエッジコンピュータ搭載の「交通量観測システム」が感染防止対策で、三重県に採用:AI
道路交通量の推移をリアルタイムに把握するOKIの「交通量観測システム」が三重県に採用され、本格運用を開始した。システムは、AIエッジコンピュータを搭載し、現場で画像を解析して道路交通状況を計測することで、県担当者がモニタリングするだけでなく、一般市民からのデータアクセスも可能にすることで、新型コロナウイルス感染症の防止につなげることが目的。
OKIは、名鉄EIエンジニア、東海エレクトロニクスと共同で、OKIの映像AIソリューション「AISION車両センシングシステム」を用いて、屋外に設置したAIエッジコンピュータで道路交通状況をリアルタイムに計測する「交通量観測システム」を三重県へ2021年3月に納入し、同年4月末までに県内の主要道路10カ所に設置したことを明らかにした。
計測現場でリアルタイムに交通量解析するAIエッジコンピュータ
交通量観測システムは、道路に設置したカメラとAIエッジコンピュータによって交通量などのデータを常時計測するシステム。三重県では、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、道路交通状況の推移を公表することで、人々の行動変容を促すことを目的に、2021年3月から先行して一部運用を開始していた。
県によるとコロナ禍の影響で、県内の道路交通状況には、公共交通機関の利用回避による平日の交通量の増加、土日休日のとくに観光地での減少など、これまでの人の流れとは異なる変化が起きていたという。これを受けて、コロナ禍でも県民が安心して外出する際の参考となる交通量の推移などの情報提供が必要と判断。しかし、従来の人手による計測作業では道路交通量を常時把握するのは難しく、リアルタイムに計測できる手法の導入が求められていた。
その結果、OKIのAISION車両センシングシステムを用いた交通量観測システムを採用した。交通量観測システムは、県が管理する主要道路に、カメラとOKIのAIエッジコンピュータ「AE2100」を屋外設置することで、その場でAIによるカメラ映像の解析や交通量の計測が行える。また、モバイル回線で計測データをクラウド上の集計システムへ送ることが可能で、人の手を介することなく、リアルタイムで県担当者が各主要道路の交通状況を把握するだけでなく、一般市民が手持ちのスマートデバイスからクラウドへアクセスして10分毎更新の静止画閲覧や日・週・月単位の交通量推移などを知ることができる。
AISION車両センシングシステムは、主装置のAE2100によって、エッジ(現場)でディープラーニングの画像解析を行い、リアルタイムな車両センシングを実現するソリューション。通信回線としては、モバイル回線にも応じ、固定回線の引き込みが困難な場所にも対応しているのが特長で、夜間や降雨雪時といった悪条件下での認識精度の向上も図っており、屋外のさまざまな現場で、的確な交通量計測や速度検知、逆走検知などを可能にする。
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