安藤ハザマがLCA手法を活用した環境影響評価で脱炭素社会を目指す:導入事例
安藤ハザマは、脱炭素社会の実現のため、神奈川県川崎市で設計・施工にて建設中の同社独身寮でライフサイクルアセスメントを実施し、カーボンフットプリント認定を取得した。ライフサイクルを通じてのカーボン・ニュートラル建築の実現を目指す。
安藤ハザマは、神奈川県川崎市で建設中の同社独身寮でライフサイクルアセスメント(LCA)を実施。カーボンフットプリント(CFP)認定を取得した。
脱炭素社会の構築のための環境影響の評価は、環境から採取した資源量と環排出した物質量を定量するLCAが有効とされる。しかし、建設分野は資材投入量が多いため、LCAの実施が難しく、公平かつ信頼できる評価手法の確立が求められている。
同社は、LCAの専門家である第三者が評価結果を検証することで公平性・信頼性を担保するCFP認定制度に着目し、環境ラベルの1つであるCFP認定マークを建築物に付与する仕組みを確立、国内初のCFP認定を取得した。
ISOに準拠したLCAの実施には高い専門性が必要だ。今回、新たにLCA用インベントリデータベース「IDEA v2」と、IDEA用LCA評価ツールを活用し、高い専門性がなくても効率的にLCAを実施できる仕組みを確立した。これにより、二酸化炭素以外の多様な環境負荷物質を合わせた総合的な環境影響評価が可能となった。
LCA実施において重要な資材投入量は、積算数量内訳を利用することで、当該建築物で採用した低炭素型PCa部材による環境影響についても詳細に評価を実施。高炉スラグをセメントの代替混和材として使用しており、材料1トン当たりのCO2排出量が普通ポルトランドセメントのおよそ30分の1とされる。
同社はCFP認定に加え、エコリーフ環境ラベルの建築物への適用、BIMを活用したLCA評価手法の確立と普及についても積極的に取り組んでいく。LCA結果のデータベース化により、コストや工程に加え環境にも配慮した建築物を設計段階から提案できるとしている。
ZEBの実現および普及の推進と併せ、ライフサイクルを通じてのカーボンニュートラル建築の実現を目指すとのことだ。
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