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「住宅着工統計」に見る住宅市場の動向「2020年度の新設は8.1%減少」建設業の人材動向レポート(33)(2/2 ページ)

本連載では、ヒューマンリソシア総研(旧ヒューマンタッチ総研)が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポート。今回は、国土交通省の「住宅着工統計」をもとに新設住宅戸数の最新動向について分析する。

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■2007、2009年度ともに貸家とマンションの新設戸数が大幅に減少

 利用関係別に新設住宅戸数の推移を見ると、2007年度は貸家が前年度の53万8000戸から43万1000戸(対前年度増減率▲19.9%)に、マンションが同24万2000戸から16万戸(同▲33.9%)と大幅に減少(図表3)。2009年度についても貸家が前年度の43万1000戸から31万1000戸(同▲27.8%)、マンションが同16万5000戸から6万7000戸(同▲59.4%)と大幅な減少となっている。2014年度は、貸家とマンションの下落幅はそれほど大きくなかったが、持家が2013年度の35万3000戸から27万8000戸(同▲21.2%)と大幅減。

 また、貸家については2015年1月に施行した相続税法改正の影響から、節税のために貸家を立てる人が増加したことにより、2014年度の35万8000戸から2016年度には42万7000戸(対2014年度比+19.3%)に増加したが、その後は減少トレンドに陥っている。


【図表3 利用関係別の新設住宅戸数の推移】 出典:国土交通省「住宅着工統計」よりヒューマンリソシア総研が作成

■考察

 新設住宅市場のこれまでの推移は、「法改正」「消費増税」「リーマンショック」「新型コロナウイルス感染症拡大」などの外的要因に大きな影響を受けながらも、近年は基本的に減少トレンドに入ってきていると言えそうである。

 ここで、将来の住宅新設戸数に大きな影響を与える要素となる総世帯数の将来推計に目を向けると、2025年以降は減少に転じ、2030年には5348万4000世帯(対2025年比▲1.2%)、2035年には5231万5000世帯(対2030年比▲2.2%)、2040年には5075万7000世帯(対2035年比▲3.0%)になると推計されている(図表4)。このように今後、総世帯数が減少することを踏まえると、経済情勢や税制などの変更により、多少の増減はあるだろうが、将来的には新設住宅戸数は減少傾向になると推測される。


【図表4 総世帯数の将来推計】 出典:国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口・世帯数」より ヒューマンリソシア総研が作成

著者Profile

ヒューマンリソシア総研

ヒューマンリソシア総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、総合人材サービス事業を行うヒューマンリソシアが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。

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