建築行政手続きのDX推進、確認審査報告書を電子データで受け取る:導入事例
東京都杉並区は2021年4月から、建築確認審査報告書を電子データで受け取る「電子報告機能」のトライアル運用を開始した。デジタル化により行政手続きを効率化するとしている。
東京都杉並区は2021年4月から、建築確認審査報告書を電子データで受け取る「電子報告機能」のトライアル運用を開始した。国際航業の行政業務総合支援システムである「Genavis(ジェナビス)シリーズ・建築総合情報システム」を用いる。2020年度に、杉並区と建築行政情報センター、国際航業の3者で協議の上、業務効率化のための機能開発を進めてきた取り組みの実証を行う。
電子報告機能を利用することにより、ペーパーレス化や業務の効率化などの実現が期待される。同区では既に実現済みの「建築計画概要書の自動生成機能」および「窓口セルフ発行機能」と、今回の電子報告機能を組み合わせ、特定行政庁における一連の建築行政手続きの自動化を目指すことで、行政業務のDX推進に取り組んでいくという。
杉並区は、人口が23区中6番目に多い約57万人で、宅地率が70%、その内の住宅地が80%と23区中最も高い比率である。現在、杉並区では年間約3000件の建築確認があり、その97%を民間の指定確認検査機関が担う。これまで、指定確認検査機関から紙ベースで郵送される確認審査報告書を専属の区職員が手作業でスキャンやシステムへデータ入力していた。また区のヒアリングでは、ある指定確認検査機関は、紙資料を区など行政機関への提出のためだけに作成・郵送していた。
同区では、課題解決に向け、2020年6月には紙資料を自動的に電子データベース化するAI-OCRを試験的に導入したが、十分な費用対効果が得られなかった。その後、システムベンダーと国の外郭団体(ICBA)と3者でさらに協議を進め、このたび、確認審査報告などを指定確認検査機関から電子データのまま区のデータベースシステムに送受信できる新たなスキームを構築した。
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