ペットボトルのようにどこにでも持ち運べる蓄電池、1台でスマホ23台を充電:BCP(3/3 ページ)
パナソニック ライフソリューションズ社は、自然災害時の停電や働き方改革に伴うフリーアドレス構築などに対応し、あらゆる室内空間で、日常でも非常時でも電源に困らない蓄電池を発売する。
システム全体で安全品質を担保するSマーク取得
年々増加しているバッテリーの発火事故(2018年76件、出典:消費者庁令和元年公表資料「モバイルバッテリー」による事故情報)に対しては、一般的なポータブル電源では、本体を除き、ACアダプターやケーブルでPSE(電気用品安全法)マークを取得していることが多いが、イーブロックは単体で丸形のPSEマークと、デスク/スタンドの充放電器でひし形のPSEマークを取得しており、システム全体でも試験基準への適合性が客観的かつ公正に証明されたことを示す、Sマーク認証を受ける予定。
寿命を迎えたバッテリーは、アプリ上で残量を放電させてから、バッテリー部分のみを取り外して、サービサーや管理会社が回収し、日本リサイクルセンターによってリサイクルに回される。
イーブロックの別の使い方としては、平常時はバイパス出力で充電しながら、機器に接続し、突然停電になれば自動で自立運転に切り替えるという停電被害を最小限に抑えるバックアップ対策としての役割も想定されている。
なお、今後のバージョンアップでは、UPS(無停電電源装置)や大容量など、シチュエーションに合わせたラインアップの拡充も見据えている。
e-blockシステムの価格は、バッテリー本体が8万円、イーブロックデスクは5万円、イーブロックスタンドは8万円(全て税・工事費別)で、販売目標は年間3万台を掲げる。
避難所の3密を防ぎ、働き方改革も支援する「e-block」
発売に先立ち大阪・中央区のOBPパナソニックタワーで開催した発表会では、パナソニック ライフソリューションズ社 エナジーシステム事業部 PSマーケティングセンター 櫻井聡氏が市場環境と販売戦略を解説した。
エナジーシステム事業部は、創業時から“電気の困りごとを解決”をモットーに、配線器具や照明制御、電路機器、防災システム、配管機材などを販売してきた。21世紀に入ってからは、省エネ配線器具、BEMS、パワーコンディショナー、ECOマネシステム/AiSEG、EV充電器などを取り扱うエネルギーマネジメントシステムへと事業を拡大し、「配電・情報インフラのNo.1プラットフォーマー」を目指し、快適な暮らしを支える資機材・サービスを市場に供給し続けている。
とくにここ数年、注力しているのが、東日本大震災を契機に市場の要請に応える形でスタートした「リチウムイオン蓄電システム事業」。節電やBCP対策、ブラックアウトへの対応など、その時々の需要をすくい取り、適切な蓄電システムを展開してきた。
しかし、新型コロナウイルス感染症のまん延に伴い、非常時の避難の在り方も変わってきており、3密が発生しがちな充電スポットでも分散が求められるようになった。また、リモートワークの浸透によって働く場所が広がったことで、仕事の継続性を支える電源場所の必要性も高まっている。
今回、リリースしたe-blockシステムは、こうした時代の要請に呼応した製品と位置付け、災害時に避難場所でのソーシャルディスタンスを防ぎつつ電力を供給し、フリーアドレスのオフィスでもワークスペースの自由度を上げることにつながる。
櫻井氏は、「什器メーカーと連携しながら、中小企業のオフィスや自治体が管理する公共スペース、全国に約19万カ所あるとされる災害時の避難場所に向けて、充放電器とのセットで導入を提案していく。2021年には3万台、2024年には6万台、その先の2030年には12万台を販売目標に据え、必要な時にいつでもどこでも電源がある“安全で安心な暮らし”を実現したい」と展望を語った。
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